●雇用形態別にみるロスジェネ世代の賃金
厚生労働省が2023年3月17日に発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、正社員とそれ以外の雇用形態で賃金は下図の通りになりました。
正規と非正規で比較すると、約13万円から約17万円の賃金差がありました。
各年代別の雇用形態間賃金格差(正社員を100とした場合の割合)を見ると、次の通りです。
- 40~44歳:62.6
- 45~49歳:58.1
- 50~54歳:54.7
就職氷河期は、バブル崩壊による景気の後退で正社員の求人も少なく、仕事に就きたくても就けない状況でした。
ロスジェネ世代は、契約社員や非正規での仕事しか就けない環境だったので、正社員で就職できた人とそうでない人で収入差は広がっていると考えられます。
では、男女別の収入状況について確認してみましょう。
●男女別にみるロスジェネ世代の賃金
ロスジェネ世代の賃金を男女別に見ると、下図の通りになりました。
正社員での男女差を見ると、男性と女性で約8万円から約11万円の賃金に差が生じています。
同じ正社員でも、女性の賃金は年齢に比例して伸びていない点から、ロスジェネ世代の女性は人事評価や待遇面で憂き目にあっているかもしれません。
一方で、男性も正社員と正社員以外の雇用形態では、約13万円から約18万円の賃金差が生じています。
ロスジェネ世代は、正社員を志望しても就職できない状況にあったので、男性にも影響が少なからずあったといえるでしょう。
ロスジェネ世代は独立志向も?
株式会社アントレは、就職氷河期世代の実態調査を実施しました。
ロスジェネ世代は、男女とも転職を繰り返して現職に就いています。
ただし、どちらも人事評価制度には不満を持っているといえます。
ロスジェネ世代は、就職活動がうまくいかない原因が自分自身にあると、世間からも厳しい評価を受けてきました。
だからこそ、仕事に真摯に向き合っていても、正当に評価されない点が不満につながっているといえるでしょう。
ロスジェネ世代の将来は
ロスジェネ世代の貯蓄額と特徴について解説しました。
就職氷河期の中で、ロスジェネ世代の貯蓄額は他の世代より一定の開きがあると考えられます。
賃金を見ても、性別や雇用形態で差が開いていました。
政府がロスジェネ世代に対して就職支援を実施しているのを踏まえると、データ以上に、格差が生まれている可能性もあります。
ロスジェネ世代に限った話ではないですが、個人の努力以上に公的な支援が必要だといえるでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(令和4年)」
- 国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
- 株式会社アントレ「【ロスジェネの昔と今、就職氷河期世代の働き方実態調査】ロスジェネ最大の特徴は、男性が独立意向6割強、女性は副業意欲4割と高い結果 」
川辺 拓也