年金の用語に触れるたび、「これはどういう意味だろう」と思うことはありませんか。
例えば「遺族年金」について。
年金というと「65歳になったら受け取れる老齢年金」を思い浮かべる方も多いですが、それ以外にも「障害年金」や「遺族年金」があります。
遺族年金について押さえておかないと、「無駄な生命保険に加入してしまう」という可能性もあります。万が一のリスクに備え、今回は「遺族年金」にフォーカスをあてて解説します。
1. 「遺族年金」とは何か【年金用語】
遺族年金とは、公的年金の被保険者であった方が亡くなったとき、遺族に支払われる給付です。
生前に加入していた年金によって「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
それぞれ対象者や要件、支給額が異なるので確認していきましょう。
2. 遺族基礎年金の要件と支給額
まず遺族基礎年金についてですが、対象となるのは以下の方です。
- 国民年金に加入中の人
- 国民年金に加入していた人で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
- 受給資格期間が25年以上ある人
老齢年金の受給資格期間は10年に短縮されましたが、遺族年金では25年必要であることに注意しましょう。
支給される金額は一律で79万5000円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は79万2600円)で、子どもがいる場合は加算があります。
3. 遺族厚生年金の要件と支給額
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入している方が以下の要件を満たす場合に支払われる給付です。
- 在職中に死亡した場合
- 在職中に初診日のある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した場合
- 障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合
- 受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合
また、支払われる遺族には優先順位があります。
夫、父母、祖父母においては死亡時において55歳以上であることが条件に。さらに、支給開始は60歳からである点に注意が必要です。
支給される金額は、亡くなった方の厚生年金加入期間や報酬に応じて決まります。
4. 遺族年金の受給には保険料の納付要件もある
遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給要件を確認しました。
それぞれの「被保険者期間」として、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。
ただし、死亡日が2026年3月末までの場合は、保険料の納付要件の特例として納付要件を満たすものとされます。
具体的には「死亡日において65歳未満であること」「死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと」の場合に当てはまります。
5. まとめにかえて
年金にまつわる用語は複雑に思えますが、万が一の生活を支える保険という性質も担っています。
少しでも不明点がある場合は、ぜひ年金事務所等に相談し、解消しておきましょう。
暮らしを守るためには「保険でリスクに備える」という視点がとても重要になります。
一方で、公的な年金保険を知らないでいると、過度な生命保険料を支払ってしまうおそれもあるでしょう。
公的制度をしっかり理解し、足りない分を私的に備えることを心がけましょう。
参考資料
太田 彩子