この時期、住民税決定通知書を受け取りはじめる方もおり、ご自身の収入を意識する方もいるでしょう。

昨今の相次ぐ物価高で、少しでも収入を上げたいと希望される方もいると思います。

国税庁によれば、日本の平均年収は443万円です。

では、一般的に高年収といわれる年収1000万円以上の人はどれくらいいるのでしょうか。本記事では、年収1000万円を稼ぐ会社員の割合と年収1000万円を達成しやすいと思われる業種を紹介します。

年収1000万円の手取りも解説するので、参考にしてみてください。

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年収1000万円以上の割合はいくらか

国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の年収分布は以下のとおりです。

出所:国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査」

給与所得者の年収分布

  • 100万円以下 :8.1%
  • 100万円超200万円以下 :13.3%
  • 200万円超300万円以下 :14.8%
  • 300万円超400万円以下 :17.4%
  • 400万円超500万円以下 :15.0%
  • 500万円超600万円以下 :10.5%
  • 600万円超700万円以下 :6.7%
  • 700万円超800万円以下 :4.6%
  • 800万円超900万円以下 :2.9%
  • 900万円超1000万円以下 :1.9%
  • 1000万円超1500万円以下 :3.5%
  • 1500万円超2000万円以下 :0.8%
  • 2000万円超2500万円以下 :0.3%
  • 2500万円超 :0.3%

年収1000万円超の割合は4.9%となっています。約20人に1人が年収1000万円を超えている計算です。

年収1000万円を超える人は少数派であることがわかります。一方で、もっとも分布割合が多い年収は300万円超400万円以下でした。

多くの人にとって、年収1000万円を達成するのは難しいでしょう。

年収1000万円を目指しやすい業種は何か

20人に1人しか達成できない年収1000万円ですが、業種によって達成の難易度は異なります。

国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、年収800万円超の割合が多い業種は以下のとおりです。

出所:国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査」

年収800万円超の割合が多い業種TOP3

  • 1位 :電気・ガス・熱供給・水道業(年収800万円超が41.7%)
  • 2位 :金融系・保険業(年収800万円超が27.6%)
  • 3位 :情報通信業(年収800万円超が21.9%)

「電気・ガス・熱供給・水道業」では、41.7%が年収800万円を超えています。「金融系・保険業」と「情報通信業」も年収800万円を超える人の割合が高いです。

業界によって年収に偏りがあるので、転職活動をする際には業界の年収相場もあわせて確認するといいでしょう。

年収1000万円の手取りをシミュレーション

「年収1000万円でも、もらえる手取りは少ない」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実際に以下の条件で年収1000万円の人の手取りをシミュレーションしてみましょう。

  • 東京の中小企業勤務の38歳独身会社員
  • 会社からの給与所得以外に所得なし
  • 給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除のみを適用

シミュレーション結果は以下のとおりです。

出所:筆者作成

年収1000万円の手取り

年収(額面) :1000万円

  • 健康保険料 :49万8000円
  • 厚生年金保険料 :71万3700円
  • 雇用保険料 :5万円

1000万円×5%(雇用保険料率)

  • 所得税 :83万4160円

(1000万円ー48万円(基礎控除)ー195万円(給与所得控除)ー126万1700円(社会保険料控除))×20%ー42万7500円

  • 復興特別所得税 :1万7517円

83万4160円×2.1%

  • 住民税 :64万830円

(1000万円ー43万円(基礎控除)ー195万円(給与所得控除)ー126万1700円(社会保険料控除))×10%+5000円
手取り :724万5793円

上記の例で試算すると、社会保険料と税金が275万4207円かかり、手取りは724万5793円です。額面の27.5%が社会保険料と税金として給与から天引きされます。

年収アップを目指そう

年収が上がるほど社会保険料と税金は高くなりますが、会社員が手取りを多くするには年収を上げることが重要となるでしょう。

また、社会保険料が高くなると「将来もらえる年金が増える」というメリットもあります(上限があります)。転職を考える際はやりがいや希望にあわせて年収など、総合的に考えてみるといいでしょう。

参考資料

苛原 寛