年金の用語に触れるたび、「これはどういう意味だろう」と思うことはありませんか。
年金制度は複雑で、かつ聞き慣れない言葉も多いため、どうしても敬遠してしまう方も多いようです。
とはいえ、「今の生活が年金の受給額に影響する」ということは押さえておいて損がありません。
年金額は払い込んだ保険料や加入期間に左右されるものですが、特に2階部分の厚生年金は受給額の差が激しいのです。
今回はそんな厚生年金の受給額を左右する「標準報酬月額」について学んでいきましょう。
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1. 「標準報酬月額」とは何か【年金用語】
標準報酬月額とは、報酬月額を区切りのいい等級に分け、その等級に該当する金額を表したものです。
厚生年金保険料だけでなく、健康保険料などの社会保険料を決めるもととなります。
例えば協会けんぽの東京支部の場合、次の保険料額表が使われます。
仮に標準報酬月額が30万円の場合、等級は22(厚生年金の等級は19)に該当し、事業主と折半後の保険料は下記となります。
- 健康保険料※:1万7730円
- 厚生年金保険料:2万7450円
※40歳以上65歳未満の場合
このように、標準報酬月額をもとに社会保険料が決定するという仕組みです。
2. 標準報酬月額の決め方
では、その標準報酬月額そのものはどのように決まるのでしょうか。単純に年収÷12というわけではありません。
まず「報酬」にあたる定義ですが、基本給のほか役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えたもので、臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等を除いたものが該当します。
これらの支給額をもとに、「資格取得時決定」もしくは「定時決定」という2つのタイミングで標準報酬月額が決定されるのです。
2.1 資格取得時決定
資格取得時決定とは、文字通り「従業員が入社したときに決定する」ことです。
被保険者資格を取得した時点での報酬を、月額に換算することで標準報酬月額が決定されます。
2.2 定時決定
定時決定は毎年1回行われるもので、4〜6月分の平均報酬額をもとに算定されます。
基本的には、ここで決定された標準報酬月額が9月から翌年8月まで適用されます。
上記の他にも、「随時改定」「産前産後・育児休業終了時」「特例改定」等のタイミングで標準報酬月額が変更されることもあります。
3. 標準報酬月額と年金の関係
「標準報酬月額」をもとに、毎月納める社会保険料の金額が決まります。
日本年金機構によると、在職中の標準報酬月額に再評価率を掛けたものを平均したものが、年金額の計算に使われています。
標準報酬月額が高ければ保険料が高くなってしまいますが、その分、将来の年金額にも反映されるということです。
4. まとめにかえて
年金や保険にまつわる用語は複雑に思えますが、将来の生活を支える要となるものです。
少しでも不明点がある場合は、ぜひ年金事務所等に相談し、解消しておきましょう。
老後資金の対策を始めるには、十分に公的制度を理解する必要があります。その上で、足りない資金の準備方法について考えていきましょう。
参考資料
太田 彩子