先日、ソニー銀行が投資型クラウドファンディングへの参入を発表しました。また、今年2月には購入型クラウドファンディングの大手CAMPFIRE(キャンプファイヤー)が、プロジェクト成功企業を対象としてCAMPFIREレンディングという投資型クラウドファンディング事業(貸付型、ソーシャルレンディング)を開始しています。
最近話題のクラウドファンディングですが、なぜ、投資型クラウドファンディングへの参入が相次いでいるのでしょうか。
そもそもクラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、広く一般の人々=大衆(Crowd)から資金を調達する(Funding)方法です。古くは奈良の大仏の修繕費用やアメリカの自由の女神の建設費用も、大衆からの寄付でプロジェクトが遂行されたことが知られています。
現在では資金を募集する媒体が、口コミや新聞・雑誌などからインターネットに変化したために急速に普及しており、矢野経済研究所の調べでは、2016年の市場規模は477.8億円を見込むと報じられました。
クラウドファンディングの類型
そのクラウドファンディングには、報酬による違いで大きく分けて寄付型・購入型・投資型という3つの類型があります。
寄付型とは、社会的意義が高いものの事業性の観点で金融機関から融資を受けにくいプロジェクトを対象としたクラウドファンディングです。
購入型は、アーティストのイベントや新商品の試作品開発など、話題になるプロジェクトが多く、資金提供に参加することでサービスまたは製品が報酬として期待できます。
残る投資型は、中小企業の運転資金や不動産開発あるいは特定の事業の資金需要に応じることで、投資家が分配金や利息など金銭的報酬を得るサービスです。
クラウドファンディングの類型別の市場シェア
寄付型や購入型に比べてプロジェクトが目立たないものの、投資型クラウドファンディングの市場シェアは高く、先述の市場調査においても投資型とりわけ貸付型、ソーシャルレンディングだけでクラウドファンディング市場の88%超を占めていたことが報告されています。
また、この傾向は日本に限ったことではなく、世界でも投資型の市場規模が、購入型・寄付型と比べて大半を占めています。
では、なぜ投資型の市場規模がほかの類型よりも大きいのか、クラウドファンディングの運営事業者として考えてみましょう。
まず寄付型の場合、多くの共感を集め、かつ資金需要のあるプロジェクトを継続的にプラットホーム上で募集し、サービスを拡大するのは簡単ではない(そもそも普通の運営者はそこを目指していない)でしょう。また購入型についても、多くの人々から支持されるイベントや製品の資金調達プロジェクトを集め続けるのは難しそうです。
それに比べると、投資型がサービスの対象とする、事業の運転資金や不動産開発の資金を必要とする企業や個人は普遍的に存在します。投資家を集めるにしても、価値観が多様化した世の中で特定のプロジェクトに意義を感じ、応援目的で資金支援する人よりも、各プロジェクトを金銭的リターンを得る投資機会として捉える人の方がより広範に存在すると考えられます。
つまり、世の中は経済合理的に行動する「普通の会社」と「普通の人」が多いという、ごく当たり前のことです。この結果、投資型クラウドファンディングは国ごとにプロジェクトの特徴に違いはあれ世界中で急成長しており、新規事業者の参入が続いているのです。
こうして考えると、もともと寄付型と投資型を同じクラウドファンディングとしてまとめるのが、NPO(非営利団体)と営利企業をどちらも法人として同列に扱うのと同じように無理があるのかもしれません。
いずれにせよ、今後も投資型クラウドファンディングへの参入企業は増え、取り扱う金融商品の違いによりカテゴリーは多様化し、「ソーシャルレンディング」など、新しい呼称が定着していくのかもしれません。
以上、投資型クラウドファンディングを通じて世界のお金の流れを変えるクラウドクレジットでした。
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