「低糖質」や「糖質オフ」という言葉をコンビニやスーパーの食品棚でよく目にするようになりました。それもそのはず、調査会社によれば「糖質オフ・ゼロ」食品市場(健康食品・サプリメント含まない)は約3,400億円(2016年見込み)になっています。この市場、今後はどのような方向に向かうのでしょうか。
シャリではなく野菜
すしチェーン店の「くら寿司」が、シャリの代わりに大根の酢漬けを使用すると発表して話題を呼びました。寿司とは本来シャリ(酢飯)の上に魚や貝などのネタを乗せる食べ物のはずが、コメからの糖質摂取を制限するため野菜で代替しようというのです。
今回の発表では、えび、ビントロ、まぐろ手巻き、えびマヨ手巻きといった寿司で、シャリに代えて大根の酢漬けを使用し、それぞれ大きく糖質を低減しています。また、くら寿司の糖質制限メニューには、ラーメンに麺がない「7種の魚介らーめん 麺抜き」もあります。
寿司好き、ラーメン好きの方からすれば、それぞれ「サラダじゃないか」、「スープじゃないか」というツッコミはあるかもしれませんが、寿司店でさえ糖質を気にする消費者が増えてきたことが背景にあるということでしょうか。
糖質オフ・ゼロの食品市場規模
今から1年ほど前のデータですが、富士経済が発表した健康食品やサプリメントを含まない「ウェルネス食品市場」のうち、「糖質オフ・ゼロ」カテゴリの市場規模(2016年見込み)は3,431億円です。2015年は3,185億円でしたので、拡大が続く見通しとなっています。
調査時点では、糖質オフ・ゼロはアルコール飲料が中心となっているとのことですが、その後はパンやケーキをはじめ、くら寿司のように寿司やラーメンといった食品にまでそのトレンドが広がっています。
コンビニとジムが共同開発した糖質コントロール食品も登場
大手コンビニのファミリーマートとプライベートジムを運営するライザップ(RIZAP)がコラボをし、「塩チーズパン」、「チョコ&ホイップシュー」、「ボロネーゼの生パスタ」、「濃旨キャラメルプリン」、「チーズアイスバー」、「どら焼」、「濃厚チーズケーキミックスベリーソース」、「サラダチキンバー」、「黒坦坦風ラーメンサラダ(黒胡麻ソース)」、「醤油とんこつラーメン」、「チョコチップスコーン」など、一見糖質制限が難しそうなメニューで糖質コントロール食品を提供しているのは消費者としても驚きです。
また、同じく大手コンビニのローソンも「マチの健康ステーション(ローソン研究所)」というサイトで、「ひさこの『ロカボ日記』」というブログコンテンツを提供しています。ロカボとは緩やかな糖質制限を意味しますが、このブログではローソンの商品を使ってロカボに挑戦する食生活の提案をしています。
最近では、利用頻度の高いコンビニを活用して、より工夫を凝らした食生活をしたいというニーズがあるのでしょう。ファミリーマートやローソンの例は、そうしたニーズやユースケースを提示したり、具体的な商品として提案したものと言えます。
一方、糖質制限ブームは砂糖メーカーにとっては逆風のように見えます。ただ、そのような中、三井製糖が大手百貨店の高島屋と共同で、ゆっくりと消化吸収される「パラチノース」を一部使用するなど、糖の量ではなく性質に着目した商品開発に取り組んでいます。この機能性に注目した提案を、消費者がどう捉えるか気になるところです。
「食べたい」「腹が減る」をどうコントロールするか
低糖質や炭水化物制限により、1年3カ月で約10キロのダイエットに成功した40代男性はこう言います。
「30代後半から肥満が顕著になったので、家族にすすめられて低糖質や炭水化物制限のダイエットを始めたのですが、自分が想像した以上にやせることができました」と、その成果には満足そうです。
ただ、次のように続けます。
「それでも、ダイエットを始めてから1年以上経過しても甘いものを無性に食べたいと思うときがありますし、極端に炭水化物を控えるとすぐに空腹感を感じます。経験者からは『じきに慣れるよ』と言われましたが、正直慣れたとは言えません」
最近は、最もやせた時と比べて3キロほど体重が戻ったようです。
「実は食べ物を極端に制限するとストレスを感じてしまうので、最近はあまり無理をしないで低糖質ではない一般のスイーツも家族の目を盗んで食べています。少しリバウンドしましたが・・・」
さて、低糖質食品の充実は一時的なブームで終わるのか、それとも食品業界のトレンドになるのでしょうか。供給者側だけではなく、消費者側の意識の変化や自己管理能力が問われるようにも思えます。
皆さんはどのように受け止め、どのように活用されているのでしょうか。
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LIMO編集部