北朝鮮によるミサイル発射の混乱から一転し、19,600円台に反発

2017年9月1日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日より45円23銭高の19,691円47銭となりました。前日に米国のダウ工業株30種平均および、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数がともに続伸したことや、外国為替市場で円相場が1ドル=110円台前半で推移し、円高への警戒感が和らいだことから投資家心理が上向きました。

また、1日に発表される8月の米雇用統計などを前に、持ち高を減らしていた投資家は買い戻しに動いたようです。ただし、利益確定売りも出て、小幅でもみ合い、全般的に様子見ムードでした。東証1部売買代金は前日までの2日間、活況の目安とされる2兆円を上回っていましたが、1日は1兆9028億円にとどまりました。

今週初は北朝鮮を巡る地政学リスクが高まりました。8月29日早朝に北朝鮮がミサイルを発射し、北海道上空を通過しましたが、同日の日経平均は一時、前日比170円安まで下落しました。ただし、米朝の武力衝突にまでは至らないとの見方が広がると、30日には日経平均は143円上昇し、終値も19,506円と、19,500円台を回復しました。

今後の展開はどうなるでしょうか。1日に発表された8月の米雇用統計は市場予測を下回ったものの、8月はもともと季節的に雇用者数が鈍化しやすいことから、米国株は大きな売りにはつながりませんでした。むしろ、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の8月ISM製造業景況感指数が市場予測より高かったことを好感し、ダウ、ナスダックともに続伸しました。

米経済は、30日発表の4~6月期の実質国内総生産(GDP)が9四半期ぶりの大きさになるなど、好調です。一方で日経平均は依然として、地政学上のリスクや米政治、為替相場など外部要因の影響を受けやすい状況です。

9日には北朝鮮が建国記念日を迎えることに加え、9月は市場が注目するイベントが相次ぎます。これらの状況下でも、銘柄によっては買いの好機にもなりそうです。柔軟に対応できるよう備えたいところです。

200日移動平均線で反発、一時25日移動平均線も回復

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先週は小幅なもみ合い状態でした。今週は29日に北朝鮮によるミサイル発射を受けてそのレンジを下抜けたものの、翌30日には窓をあけて反発しました。

19,300円前後には200日移動平均がありましたが、このあたりからの押し目買いに動いた投資家が多かったと思われます。そのまま先週のレンジの上限を抜けると、31日も窓をあけて上昇。9月1日には一時、25日移動平均線も回復しました。

19,500円台を超えてきたことで、底入れへの期待が高まる

今後の動きはどうなるでしょうか。29日に一時、先週のレンジを下抜けたことで、さらに下落することも想定されましたが、そこから反発し、むしろ19,300円前後でのサポートが確認される形になりました。

1日は陰線となりましたが、上値抵抗線や目先の節として意識されやすい19,500円を超えた19,691円で終えています。

注目すべきは25日移動平均線との関係です。4月17日に18,224円の今年の最安値を付けて以降、6月20日に20,318円の高値を付けるまで、何度も25日移動平均線付近でサポートされてきました。逆に8月に入ってからの軟調な局面では、25日移動平均線が上値抵抗線になっていました。

その点で、今週、一時的ながらも25日移動平均線を上回ったことで、底入れへの期待も高まるところです。来週初に、この25日移動平均線で上値が押さえられるようであれば注意が必要ですが、25日移動平均線を突破し、サポートされるようであれば、目線を上に持っていきたいところです。

下原 一晃