3. 老齢年金の「手取りが少ない」理由とは
「年金振込通知書」の中身を確認しながら、老齢年金から天引きされる税や社会保険料について整理しました。
現役時代の給与明細でも総支給(額面)と振込額(手取り)の差に驚く方も多いですね。これと同じことが、老齢年金でも起こり得るのです。
「ねんきん定期便」などで確認していた金額は、そのまま実際の支給額とはなりません。そこから社会保険料や税金が天引きされることを想定したマネープランを立てておく必要があるでしょう。
また、介護保険料は、介護サービスの利用が始まったあとも生涯にわたって支払う義務があります。さらに保険料額は3年に1度見直されるため、少子高齢化の進行により、今後引き上げられることも十分考えられます。
年金は「額面通りには受け取れない」点を、あらかじめ想定しておく必要がありそうです。
4. まとめにかえて
今回は、老齢年金から天引きされるお金について整理しました。
「公的年金額はいくらもらえるのか」といった話題に関心はあるけれど、年金から天引きされるお金の存在は、意外に知られていないかもしれませんね。
「ねんきん定期便」などで将来どのくらいの年金が見込めそうかを把握したら、そこから天引きされるお金も意識した上で、マネープランを練っていけたらよいですね。
少子高齢化が進むこんにち。年金制度の支え手である若い世代は減る一方です。いまの年金水準がずっと続くとは限らない点も頭に入れながら、老後に向けた資産づくりを進めていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金金額等について」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「『ねんきん定期便』の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)」
- 日本年金機構「年金Q&A (年金振込通知書の送付)」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
荻野 樹