【老齢年金】65歳未満の年金が少なすぎ?!年金受給額の謎を解説

ここまで国民年金・厚生年金それぞれの平均受給額をみてきましたが、65歳の年金額が少なすぎる!と感じた方も多いのではないでしょうか。

受給額だけをみると「世代間の年金格差」が極端にすすんでいるような印象を受けてしまうかもしれません。

しかし、65歳未満の年金額が少ないのには、制度上の理由があります。

国民年金の場合、主に繰上げ受給を選択している影響で平均受給月額が低くなっていると考えられます。

繰上げ受給とは、本来の年金受給開始年齢である65歳より前に年金をもらい始める代わりに受給額が減額される制度のことです。

1ヵ月あたり0.4%(年間4.8%)、最大5年で24%の減額率になりますから、仮に本来の受給額を5万円とした場合、24%の減額で3万8000円という計算になります。

厚生年金の場合、「特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げ」によって主に定額部分のない、報酬比例部分のみ受給額となることが影響していると考えられます。

簡単にいえば、受給開始年齢に達していない国民年金部分はまだもらえないため、少なくみえるということになります。

ただし、繰上げ受給を選択した結果受給額が減少しているケースもあるため、全体的に65歳未満の平均月額は低い傾向にあるといえるでしょう。

老齢年金だけに頼らないマネープランを

65歳未満の年金受給額は世代格差のせいだけではないことが分かりましたが、厚生年金の受給額水準は年代が若くなるほどジワジワさがっている様子も垣間見ることができました。

また、年金額だけでなく、年金受給開始年齢が引き上げられる可能性にも注意しておきたいところです。

65歳になったらもらえると思っていた年金が「原則70歳から」と引き伸ばされた場合、その5年間の生活はどうするのか。

長く働ける仕事もしくは貯蓄のいずれかで、年金無しでも食べていける備えが必要だといえます。

仮に月25万円の生活費が5年間かかるとすると、年間300万円のお金がかかります。
5年で1500万円になりますので、65歳時点で1500万円の貯蓄がある状況をひとつの目安としても良いかもしれません。

自分にあったマネープランを見つけるための情報収集からスタートしてみましょう。

参考資料

尾崎 絵実