第三のタイミング:リターンが減った後、回復してきたタイミング
金融危機による相場の下落でリターンがマイナスになった後、相場が回復してリターンが徐々に上がり、下落前の水準まで戻ったとします。しかし、3番目の落とし穴が、このタイミングに待っています。
一度、金融危機による下落相場を経験すると、多くの人は、もうリターンが減っていく状況に耐えることはしたくない、と思うのではないでしょうか。実は、マイナスが続いている時期に投資をやめる人よりも、相場がいったん回復しプラスになったタイミングでやめる人のほうが多いと言われています(相場が回復し、やれやれという気分で売ることを、「やれやれ売り」と呼びます)。
相場が戻ったタイミングで売却して様子を見ようと思うのは、人間の心理として自然かもしれません。しかし、本来はそのまま続けていれば得られたリターンを、取り逃すことになるのです。
長期投資の場合、資産を引き出すべきタイミングは、実際にお金を使うときに限られます。繰り返しになりますが、短期的な相場の上下に一喜一憂せず、本来の目的を忘れずに長く続けることをおすすめします。
今回ご紹介したように、長期投資を続けていくうえでは、さまざまな難しい場面が待ち受けています。不安に思う気持ちを止めることは難しいと思いますので、迷ったときは、以下のような工夫によって乗り越えて、長期投資を成功させていただきたいと願っています。
【長期投資を続けるための工夫】
- 運用実績はできるだけ見ない(不安を感じやすい性格だとご自身でわかっていれば、普段から見ないようにする)
- 長期投資のゴール(いつまで続けるかの目標)を書き留めておいて、不安になったときは見返すようにする
- 一人では不安に耐えられそうになければ、FPなどのプロに相談する
ウェルスナビ株式会社 小松原 和仁