3. 夫に先立たれた場合の遺族年金。4月からの遺族基礎年金額も確認
夫が亡くなると、条件を満たした妻は遺族年金を非課税で受けられます。
3.1 遺族基礎年金
遺族基礎年金を受けられる妻は、「子のある妻」です。
「子」とは18歳になった年の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害1級または2級の子を意味します。
基本的には18歳未満の子がいない妻は、遺族基礎年金を受けられません。
妻が遺族年金を受けられる場合の受給額は2023年4月分からは、以下のとおりです。
- 67歳以下:79万5000円+子の加算額
- 68歳以上:79万2600円+子の加算額
子の加算額は、以下のとおりです。
- 1人目および2人目:1人あたり22万8700円
- 3目以降:1人あたり7万6200円
10歳の子が1人いる35歳の妻が受け取れる遺族基礎年金は、102万3700円(79万5000円+22万8700円)です。
3.2 遺族厚生年金
会社員や公務員だった夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金を受け取れます。遺族厚生年金は夫を亡くした妻なら基本的には受け取れますが、子のない30歳未満の妻は5年間限定の受け取りとなります。
遺族厚生年金の受給額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
報酬比例部分とは加入期間中の賞与を含んだ平均月収と加入期間によって年金額が計算される部分で、65歳からの老齢厚生年金額に相当します。
老齢厚生年金の報酬比例部分が50万円なら、遺族厚生年金の支給額は37万5000円です。
中高齢寡婦加算
遺族厚生年金を受給する妻が以下のいずれかの条件を満たすと、中高齢寡婦加算として40歳から65歳になるまでの間、年額59万6300円が上乗せされます。
- 夫の死亡時に40歳以上65歳未満で生計維持関係の子がいない
- 子が18歳になるなど要件を満たさなくなり、遺族基礎年金を受給できなくなった
中高齢寡婦加算は、妻が65歳になり自分の老齢基礎年金を受け取るようになるまで支給されます。
夫の死亡時に15歳の子が1人いる35歳の妻の公的年金受給額の推移は以下のとおりです。なお、遺族厚生年金の支給額は37万5000円とします。
- 35歳:139万8700円(遺族基礎年金102万3700円+遺族厚生年金37万5000円)
- 43歳(子ども18歳):97万1300円(遺族厚生年金37万5000円+中高齢寡婦加算59万6300円)
- 65歳:117万円(遺族厚生年金37万5000円+老齢基礎年金79万5000円)