移民受け入れで、日本人の生活水準は上がるのか

「人口が減るから移民を受け入れるべきだ」という論者もいるようです。人口が減ると、何が問題となりそうでしょうか。

人口が減り、GDPが減ると、軍事や外交の面では困ったことが起きるのかも知れませんが、移民によって人口を維持することが軍事や外交の面でプラスになるのか否か、筆者の得意分野ではないので、議論は避けておきましょう。

経済の面で重要なのは、総人口やGDPの大きさそのものではないでしょう。一人あたりのGDPが高く、人々が豊かに暮らせることが大切なのです。

その意味では、「移民を受け入れることで、日本人の生活水準が上がるのか」という基準で判断すべきと筆者は考えます。

そうなるとハイテク産業で活躍が期待できそうな高度人材などは大いに歓迎できるでしょう。しかし、一般的な労働者に来てもらっても、日本人の生活レベルは上がらないでしょうから、広く移民を受け入れる必要はないと筆者は考えます。

日本人が望む将来の日本とは?

今後、日本人の少子化が止まらず、人口が減り続けたとします。

数百年後に日本人の人口が10分の1に減るとして、日本列島の人口を維持しようとすれば日本列島に住む人の9割が移民ということになります。それが私たち日本人の望む将来の日本なのでしょうか。そこは国民的な議論が必要でしょう。

もしかすると、日本人が「日本語の通じる地域に住みたい」という事で1カ所に固まって住むことになるかもしれません。そうなった場合、日本語の通じない人が住む地域が国土の9割、日本語の通じる人が住む地域が国土の1割、ということにもなりかねないわけです。

そうなるよりも、10分の1の人口で広い国土を広々と使い、各人が広い家に住めるような国を子孫に残してやりたいと思う次第です。

本稿は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先しているので、細部は必ずしも厳密ではありません。

【追記】2023年5月3日に追加で編集を行いました。

参考記事

 

塚崎 公義