先週は北朝鮮問題が一気に緊迫化し、市場は完全にリスクオンモードに。ドル/円は安値を更新して109円台に突入しました。夏休みド真ん中となる今週の為替市場は、北朝鮮情勢次第で大きく動く可能性があります。安直にポジションを取り、大きな損を抱えて暗い夏休みとならぬよう注意が必要です。
先週の為替市場振り返り
先週は市場関係者の夏休みが本格化する中、北朝鮮のミサイル問題が急浮上しました。グアムへの4発のミサイル発射計画が報じられ、対するトランプ米大統領が厳しい口調で北朝鮮を非難するなど、一気に地政学リスクが高まっています。
その結果、“有事の円買い”でドル/円は下落し109円台に突入。日足で見れば月曜の陽線を除くと4日続けて陰線での下落となりました。一方で、これまで毎週のように高値更新を続けていたユーロ/ドルは、高値を更新することなくレンジ相場を形成。円買いが強く印象付けられる1週間となりました。
VIX指数および金が急騰しリスクオンへ
北朝鮮情勢の緊迫を受けて、恐怖指数とも言われるVIX指数が急騰しました。10日に一気に上昇し、11日には場中で年初来高値を更新。VIX指数の観点では2017年最大のリスク状態となっています。
金価格も上昇しています。4日続けて陽線を形成し、4~6月に形成したサポート&レジスタンス(サポレジ)に到達。今後上方ブレイクするのか、下に反転するのか要注意ポイントに位置することになりました。このように、上昇を続けたVIX指数と金価格の状態からは、金融市場がリスクオンに突入した状態を確認することができます。
また、これまで下落が継続していたドルインデックスは、先週は下落とはなりましたが安値更新には至っていません。よって先週のドル/円の下落は、ドルの下落というより円の上昇要因が強かったと見ることができます。
北朝鮮問題に左右される展開が継続か
今週も市場は北朝鮮問題に左右されると予想されます。米国と北朝鮮はグアムへのミサイル発射をめぐるチキンレースを続けている状態であり、どう着地するか予断を許しません。先週からのリスクオンモードに夏休みの市場環境が相まって、値動きが増幅される可能性もあります。
今週の指標発表は15日に7月米小売売上高速報、16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の7月議事録公表が予定されていますが、重要度としては北朝鮮問題のほうが大きいと見られます。
個別の通貨ペアでは、ドル/円は直近のサポレジとなっている4月安値の108円台前半まで下落の可能性を有しています。また、108円台を明確に割れた場合、105円までサポレジとなるような価格帯が存在していません。よって、北朝鮮情勢の緊迫化で108円割れると大きく下落する可能性があるため、108円台の維持を巡る攻防は要注意となります。
ドル/円下落の際は、円が買われることによる下落か、ドルが売られることによる下落か、ドルインデックスとユーロ/ドルを見ることで分かります。ドルが売られればユーロ/ドルの値動きにも影響が生じるため、ドルインデックスの値動きと合わせて注意したい場面となります。
まとめ
今週の為替市場は北朝鮮問題という地政学リスク次第であり、お盆休み本番の日本では非常に取り組みが難しい状態となります。今週まで休みを取る市場関係者も多いため、値動きが荒くなりがちで、一気に相場が走る可能性があるので、十分な注意が必要です。
夏休みの時間のある時にFXトレードを始めてみようかと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、地政学リスクが高まっており、安易な気持ちでポジションを持つと大きな損失を抱えかねないリスクを今の相場は有していますので、十分注意していただきたいと思います。
LIMO編集部