3. 【ねんきん定期便の盲点】年金からも天引きされるお金があった

さて、「ねんきん定期便」に記載された金額はあくまでも見込額。かつ、いわゆる「額面」です。実際に振り込まれる金額とは一致しません。

年金受給がスタートして、実際に受け取る金額は「年金振込通知書」で確認できます。

3.1 「年金振込通知書」とは

毎年6月、金融機関等の口座振込で年金を受け取る人に、日本年金機構から郵送されます。6月から翌年4月(2か月に1回)まで毎回支払われる金額を通知するものです。

4. 【老齢年金】年金振込通知書で分かる「額面・天引き・手取り」

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

冒頭でも触れたように、老後の年金でも、「総支給(額面)」と「振込額(手取り)」に差が出ます。どれぐらい差があるのか記載内容を詳しく見ていきましょう。

4.1  (1):年金支払額(=額面)

年金は偶数月に2カ月分が支給されます。ここに記載のある金額は、あくまで各種控除を行う前の「総支給額」、いわゆる「額面」です。

4.2  (2):天引きされる「介護保険料額」

現役時代は給与から天引きされていた「介護保険料」も年金から控除されます。実際に介護サービスを利用するようになっても、介護保険料の支払いは生涯続く点に注意が必要です。

4.3  (3):天引きされる「後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)」

介護保険料と同じく、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料(税)も天引きされます。ただし、天引き対象でない場合には記載がありません。

4.4  (4):天引きされる「所得税額および復興特別所得税額」

年金に応じた所得税額および復興特別所得税額が天引きされます。社会保険料と各種控除額を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額が記載されています。

年金に所得税が課税される場合も、年金からの天引きで納税します。

4.5  (5):天引きされる「個人住民税」

所得税と同様に、個人住民税も天引きとなります。

4.6  (6):控除後振込額(=手取り)

ここに記載の金額が、各種控除後の実際の振込額、いわゆる「手取り」です。。

参考までに、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、無職の夫婦世帯の場合、社会保障給付(年金)21万6519円に対し、直接税1万2109円、社会保険料1万8529円が徴収されています。

また無職の単身世帯の場合では、社会保障給付12万470円から税金と社会保険料が約1万2000円が徴収されています。