8月も半ば、そろそろ秋に向けた衣類やインテリアについて考えたくなる頃かもしれません。今回は、衣料品(アパレル)から日用雑貨、食品までを取り扱う無印良品を運営する良品計画(7453)について、決算書を参考に見ていきたいと思います。

いったい良品計画は”何屋”なのか

無印良品の店舗に行くと、衣料品だけではなく、家具や食品なども並んでいます。そのため、無印良品は一言で”何屋”と表現しにくいと思われる方もいるのではないでしょうか。

一方で、無印良品の店内で商品ディスプレイを眺めていると、「こういう生活がしてみたい」と思わせられることが多々あります。つまり無印良品はライフスタイルを提案する店であり、良品計画はそうした店舗を運営する企業とも言えるでしょう。

良品計画の商品別の営業収入を見ると、2017年2月期の連結営業収益(売上高)3,333億円のうち、「衣服・雑貨」が1,226億円(対連結営業収益比37%)、「生活雑貨」が1,765億円(同53%)、食品が220億円(同7%)、その他が121億円(同4%)となっています。

無印良品はアパレルメーカー・小売企業という印象もありますが、営業収益の構成比で見ると生活雑貨の店と言えるかもしれません。

海外で成功している良品計画

次に、良品計画の主力ブランドである「MUJI 無印良品」によるライフスタイル提案がどの程度海外で受け入れられているかについて見ていきましょう。

良品計画の2017年2月期の営業収益(売上高)3,333億円の地域別内訳は、国内事業が2,157億円(対連結営業収益比65%)、東アジア事業が897億円(同27%)、欧米事業が176億円(同5%)、西南アジア・オセアニア事業が103億円(同3%)という構成となっています。

一方、営業利益に関しては国内事業が220億円(対連結営業利益比57%)、東アジア事業が165億円(同43%)、欧米事業が▲9億円(営業損失)、西南アジア・オセアニア事業が1.4億円(同0.4%)となっています。

現状では国内事業の利益のほうが大きいものの、国内と東アジアで大きく二分するという状況です。利益的にも立派なグローバル小売り企業と言えるでしょう。

国内事業に次いで同社を支える東アジア事業ですが、どの国の営業収益が大きいのでしょうか。同社の東アジア事業の営業収益897億円の国別の数値を見ると、中国が550億円で60%強を占め、香港が139億円、台湾が135億円、韓国が74億円となっています。

ライフスタイルを提案し、海外で成功した日本企業というのは意外と思いつかないものです。かつて「ウォークマン」で世界を席巻したソニーは、若者に屋外で自由に音楽を楽しむというスタイルを提供し成功した企業と言えますが、皆さんはどんな企業を思い浮かべるでしょうか。

良品計画の従業員の地域構成

最後に良品計画の従業員数を見てみましょう。2017年2月28日時点では連結で6,992人が在籍しています。その内訳は、国内事業が1,514人、東アジア事業が4,037人、欧米事業が553人、西南アジア・オセアニア事業が336人、全社(共通)およびその他で552人となっています。

従業員数だけで見ると東アジア事業が全体の58%を占めており、東アジア事業が中心と見ることができます。一方、従業員に加えて臨時従業員数を見ていくと、少し違う側面が見えてきます。

各事業ごとの臨時従業員数の年間の平均人員は、国内事業が5,884人、東アジア事業が2,776人、欧米事業が240人、西南アジア・オセアニア事業が230人、全社(共通)およびその他で73人となっています。

先ほど見た就業人員と臨時従業員数を足すと、国内事業が7,398人、東アジア事業が6,813人で、国内事業の人数が最も多くなります。このように、国内事業の臨時従業員数の比率が東アジア事業と比較して高いのが特徴です。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。「MUJI 無印良品」に代表されるライフスタイル提案型ビジネスは、現状は東アジア中心とはいえ、国境をまたいで広がっています。これまで小売業は内需中心の事業と思われていましたが、ライフスタイル提案を基軸に海外でも展開できる企業があるのは非常に興味深いのではないでしょうか。

海外ではアップルの創業者スティーブ・ジョブズを始め、日本の「禅」におけるシンプルさを評価する向きもあります。「MUJI」にそうしたシンプルさが求められているのだとすれば、海外で評価される理由として理解できますね。

青山 諭志