3. 年金月額が18万4000円に増えた男性の落胆
年金月額が10万円であった男性が、年金を増やすために75歳まで繰下げ受給を行いました。
これにより、年金月額は18万4000円にまで増やせます。
しかし思わぬデメリットがありました。それが税金と保険料の増額です。
年金月額が10万円であれば、年額は120万円。このままでは課税対象となりませんが、繰下げ受給をすることで年額220万8000円となり、税金が源泉徴収されてしまいます。
さらに健康保険料や介護保険料も年金額(+その他の所得)に応じてかかるため、年金があがるほどに負担が増えることになります。
額面の伸びほどには手取りが増えず、税金等の負担を重く感じてしまうでしょう。
また、繰下げ受給をすると加給年金が受け取れなくなる点にも注意が必要です。夫婦世帯は特に、世帯での総合的な年金を考えておきましょう。
4.「年金」の受け取り方も老後の備えのひとつ
老後の不安対策として、年金受給額を上げることはとても有効です。
しかし、繰下げ受給を利用するには注意点もあることがわかりました。税金や保険料の負担が増えるという点を十分に認識しておきましょう。
言わずもがな、年金受け取りのタイミングを後ろにずらすということは、健康であることや働き口があることも重要です。
さらに老後資金をしっかり確保する必要もあるでしょう。
老後資金を預貯金だけでカバーするのは難しいかもしれません。
先のお金であることを逆手にとり、資産運用にてじっくりお金を増やすというのも一つの選択肢になります。
最近ではiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISAなどが話題になっています。税金面でも優遇され、初心者でも始めやすいとされています。
ただし、それぞれには元本割れ等のリスクがあったり、掛け金の上限が設けられたりします。始める際にはメリットデメリットの検証をしっかり行いましょう。
参考資料
太田 彩子