株価好調のクラレ
クラレ(3405)の相対株価が、2017年4月以降、日経平均のそれを大きく上回るパフォーマンスを上げています。その背景は、今期業績の上方修正期待に加えて、石油系原料の低位安定が業績拡大につながると見られていることにあるようです。
クラレというとアルパカを使ったCMを思い浮かべる方が少なくないと思いますが、同社は液晶ディスプレーの偏光板向けポバールフィルム、食品包装材料のエバールフィルムなどのビニルアセテート系製品では世界トップクラスの競争力を持っています。また、2018年度以降の次期中期経営計画では、第2の柱であるイソプレン系製品の世界展開も期待されています。
ビニルアセテート系製品の競争力は世界トップクラス
クラレは元々、ビニロン繊維(ビニルアセテート繊維)を事業の基盤とした繊維会社で、得意のビニルアセテート技術をベースに、液晶ディスプレー偏光板向けポバールフィルム、食品保存用の気密性の高いエバールフィルム、自動車ガラス向けポリビニルブチラールフィルム(PVBフィルム)等、化学製品への応用展開を推進してきました。
このほか、世界トップの人工皮革(クラリーノ)、熱可塑性エラストマー(セプトン)などのイソプレン系、メタクリル樹脂系など、持ち前の高分子・合成技術を駆使して業態転換を進めてきています。
2016年12月期の決算では、主力のビニルアセテート事業の売上高が全体の47%、営業利益(調整額控除前)で71%を占めます。ちなみに、ビニルアセテート製品の世界シェアではポバール樹脂が40%(中国除く)、液晶ディスプレー偏光板向けポバールフィルムで80%、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂で65%と圧倒的な地位を構築しています。
2014年には旧デュポン社のビニルアセテート事業(米国)を買収することで、同事業チェーンを日本、欧州、アジア、米国で世界展開できる体制が確立しました。
好調だった第1四半期決算(1-3月期)
去る5月11日に発表された2017年12月期第1四半期決算(1-3月期)の営業利益実績は、前年同期比+27%増の218億円で、第2四半期累計の会社予想値に対する進捗率が64%と好調な内容でした。
その主な要因は、液晶ディスプレー向けポバールフィルムの出荷が想定を上回ったことです。そのため、同社では第2四半期累計の業績予想を若干上方修正したものの、通期予想は据え置かれました。
本日(8月9日)発表予定の2017年12月期第2四半期累計決算(1-6月期)の内容が注目されます。
本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
>>クラレ(3405)の世界トップのビニルアセテート系製品の競争力に注目
LIMO編集部