4. 老齢年金「月額10万円未満」の方が受給額を増やすには
ねんきん定期便を確認し、将来受け取る年金が10万円未満だとわかった方は、以下の3つの取り組みで受給額を増やしましょう。
4.1 「月額10万円未満」の方が受給額を増やす取組み1:未納期間があれば納付する
20歳以上になると支払い義務のある国民年金保険料。しかし、学生だった期間は未納のまま放置しているケースがあります。
また、転職などで無職だった時期の年金を未納のままにしているケースもあります。
学生の場合は、学生納付特例の手続きをすれば支払いが猶予されます。転職などで収入が減る場合であれば免除を申請することができます。
どちらの場合も、未納分を納付すると年金額を増やすことができます。
先述の「ねんきん定期便」で、猶予、未納、免除になっている期間があれば、「追納」をするようにしましょう。
4.2 「月額10万円未満」の方が受給額を増やす取組み2:年金を5年ほど繰り下げる
公的年金が受給できるのは原則65歳からですが、年金の受給開始を繰下げすると、1か月あたり0.7%多く年金を受け取れます。
66~75歳まで、1か月単位で繰下げができます。たとえば70歳まで繰下げをすれば「0.7×60か月=42%」も増額になります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金のどちらも繰下げをするのは難しいというのであれば、どちらか一方だけでも可能です。
4.3 「月額10万円未満」の方が受給額を増やす取組み3: 60歳以降も働き厚生年金を掛ける
2021年4月から高年齢者雇用安定法が改正施行され、雇用主は70歳まで就業機会を確保することが努力義務となっています。
その影響により、最近では定年後の再雇用、60歳以上の積極採用など、シニアの働き口が増えています。
たとえば、年収180万円で1年間働くと年金額は約1万円、5年働けば年金額は約5万円増額となります。
また、年収240万円であれば、1年間働くと年金額は約1万3000円、5年働けば年金額は約6万5000円の増額になります。
働くことは、収入以外に、やりがいを得る、規則正しい生活になるなど、心と身体を豊かに保つ効果もあるといわれます。
自分らしい働き方ができるため、また好きなことで収入を得られるための準備をしましょう。
5. 年金月額が10万円未満の人の老後対策
年金受給の実態を知ると、「老後、年金だけの生活はしんどい…」と思うかもしれません。
年金額を増やす取組みはいろいろあります。早いうちから現状を知り、時間をかけて老後の資金計画を立てていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
舟本 美子