介護士をはじめとする介護従事者が不足しているなら、まずは報酬を引き上げるべきで、そのためには介護保険料の引き上げを覚悟する必要があります(経済評論家 塚崎公義)。

1. 介護士不足解消のカギは「報酬アップ」

介護は大変な仕事です。

そのわりに介護士など介護従事者の待遇は悪く「やりがい搾取」の状況が続いています。その結果、離職者が多く慢性的な人手不足ですね。

高齢化が進む日本にとって、需要が確実に増加していく介護は「成長産業」であるはずです。しかも機械化が難しいため、労働生産性は上がりにくく、今後も多くの労働力を必要とするでしょう。

労働力が不足しているなら、賃金を上げるしかありません。

賃金を上げずに「やりがいのある仕事なのだから、低賃金で重労働でもガマンしよう」などと言えば、さらに労働力不足が深刻化するだけですから。

民間企業であれば、労働力不足を解消するために賃上げするか否かは企業自身が決めれば良いことです。

しかし介護業界の場合は、介護保険料の範囲内で介護施設に対する支払いが行われ、その支払額の範囲内で介護従事者の給料が決まります。そのため、ひとくちで給料を上げたいと思っても、容易ではないようです。

それなら、介護保険料を上げよう、というのが本稿の立場です。