7月はドルの下落が特徴的な月でしたが、今週から8月に入り夏枯れ相場の可能性もある中で米雇用統計を迎えます。8月4日(金)の米雇用統計発表に向け、これまでの市場の流れが継続するかどうかがポイントとなりそうです。

先週の為替市場振り返り

先週は米連邦公開市場委員会(以下、FOMC)が開かれました。金利引き上げ予想もなく、それほど重要視されてはいませんでしたが、FOMC待ちとなっていた為替市場は26日のイエレン議長の会見を契機にドルが売られる展開となりました。

ドルの他通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスの値動きを見ると、これで3週続けて安値を更新。米国株堅調の一方でドルが売られる状況が継続しています。

その結果、ドルインデックスと逆相関の関係にあるユーロ/ドルは3週続けて高値を更新。ドル/円は110.6円からいったん112円まで上昇するものの、結果としては行って来いとなり、110.5円とわずかながら安値を更新して週の取引を終えました。

安値更新のドルインデックス、ただし下げ止まりの可能性も

前述のようにドルインデックスの下落が続き、週足では3週連続の陰線かつ安値更新となっています。しかしながら、先週の93.2ポイントという水準は、2015年5月および2016年4-6月に形成されたサポート&レジスタンス(以下、サポレジ)の水準に該当します。

このサポレジが機能していったん反転するのか、サポレジを下ブレイクするような値動きとなるのか、ドルインデックスの値動きは大きなポイントを迎えています。

一方、米国株は堅調です。S&P500は小幅安で先週の取引を終えていますが、大型株中心のダウ平均は3日連続で最高値を更新。ただ、大統領選直後のトランプ相場の際はドルインデックスの上昇と株価の上昇が同時に発生しましたが、現在の株価上昇はドルインデックスの下落とセットで進んでおり、様相が異なっています。

また、原油価格(WTI)も上昇しています。先週は5営業日すべての日足が陽線となり、節目価格の50ドル目前、49.6ドルで週の取引を終えています。既に米国シェール企業の原油価格の損益分岐点は1バレル=50ドルを割れているとも報じられる中、原油価格の上昇がどこまで続くのかも注目です。

今週の為替市場見通し

今週は8月4日に米雇用統計の発表がありますので、ここに向けた値動きをどう読み解くかがポイントです。中でも、前述のように3週連続で安値更新の一方で、重要なサポレジに到達したドルインデックスの値動きが重要となります。

各通貨ペアで見ると、ユーロ/ドルは過去のサポレジを先週の上昇で完全に上抜けしており、上昇の障害がない中でどこまで上がるかが見所です。

110.5円台で先週の取引を終えたドル/円のほうは、4月の108円台、6月の109円台というサポレジがまだ下に存在しており、さらなる下落余地があると言えます。4月には108.1円まで下落していますので、まだ2円以上の下落の可能性を有しています。

また、今週から8月に入りますが、例年8月上旬から中旬は値動きが鈍くなる傾向があります。機関投資家の中には、4日の雇用統計の後は夏休みに入るトレーダーも多く存在するようです。よって、今週が最後の仕事とばかりに雇用統計に向けて大きく動く可能性もあります。

ただし、8月の為替市場は夏枯れ相場で動かない年が多いという点は留意が必要です。特に、ドルインデックスが週足で下のサポレジに位置しているため、いったん反発するのか、下に抜けるのか、サポレジで相場が停滞するのかを見定める必要があります。

まとめ

7月は「ドル下落・米株上昇の月」という結果になりそうです。しかし、下げ続けてきたドルインデックスがいったん反発してもおかしくない地点にまできており、ドルインデックスの値動き次第ではこれまでの各市場の流れに変化が生じる可能性もあります。

既に今年は例年と比べると値動きが少なくなっています。雇用統計の週といえども、早くも夏枯れ相場でドルインデックスがサポレジで値動き停滞という可能性も踏まえつつ、今週の為替市場に臨みたいと思います。

LIMO編集部