IoTはソフトウェアの優劣を問われそうな印象もありますが、それ以上に“Things”というくらいですから、ハードウェアの存在がより重要です。
GEがなぜIoTプラットフォーム領域で主体的に立ち回れるかといえば、圧倒的に強いハードウェアを既に持っているからです。
強いとはどういうことかというと、すでに自社製品あ世界市場で高い市場シェアを持っている、またインストールされたものがあるということです。その代表として挙げられるのが、ガスタービン、ジェット機向けエンジン、風車などです。
GEのようにすでに強いハードウェアを持つ企業がIoT技術を活用して顧客の経営効率を改善させるというのは非常に説得ある戦略だというわけです。
一方で、日立の戦略を見ると2017年4月に1,357億円を費やし、空気圧縮機メーカー・サルエアー社を買収し、北米の産業ビジネスに本格参入しています。これも既設のハードウェアを持っているという点も評価されていると見えます。
いずれにせよ、IoTを語る上でどの程度市場で評価されているハードウェアを持っているのか、またハードウェアに影響を及ぼすことができるポジションにあるのかが重要といえます。こうした点を考えれば、強いハードウェアを持っていない企業には取り組みが難しいともいえるでしょう。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。日立製作所にはIoT領域で世界で存在感のあるポジションを確立してほしいものです。ただ、ハードウェアのグローバルでの市場シェアで高い製品を持っているかどうかという点が論点となるとサルエアー社のような買収や、これまで競合であった企業との協業なども必要となってくるかもしれません。
青山 諭志