3. 貯蓄はいくら必要?老後の生活費用

老後の年金収入に対して生活費はいくらかかるでしょうか。

総務省の2021年「家計調査(家計収支編)」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯の消費支出の平均額は13万2476円、非消費支出は1万2271円です。消費支出とは食費や水道光熱費などで、非消費支出とは税金や社会保険料です。

この支出合計の14万4747円と年金収入の差額が、毎月の家計の赤字または黒字となります。

年金月額と毎月の支出の差額(収支月額)と赤字の場合の25年分をまとめると、以下のようになります。

【年金月額と毎月の支出の差額(収支月額)】

出所:総務省2021年「家計調査(家計収支編)」などをもとに筆者作成

厚生年金をもらう男性の場合、生活するだけなら年金でまかなえそうです。

厚生年金をもらう女性、国民年金の男女は毎月年金だけでは大きな赤字が発生します。その不足分は最低限準備しておきたいところです。

毎月の支出には個人差があるので、人によっては赤字がより少ない人も多い人もいるでしょう。現在の生活費をベースに老後にどんな生活を送りたいかを考え、より現実的な支出を考えましょう。

また、この金額は生活費の不足分です。自宅のリフォームや高齢者施設の入居を予定している場合、その支出分も準備する必要があります。

3.1 介護施設に入る場合の費用は?

1人暮しの高齢者が要介護状態になった場合、施設で介護を受けることが多いでしょう。生命保険文化センターの調査によると、施設に入った場合の介護費用の平均は月額12万2000円です。

高齢者の介護施設には以下のような種類があります。

  • 特別養護老人ホーム:要介護高齢者のための生活施設
  • 養護老人ホーム:環境的、経済的に困窮した高齢者の施設
  • 軽費老人ホーム:低所得高齢者のための住居
  • 有料老人ホーム:高齢者のための住居
  • サービス付き高齢者向け住宅:高齢者のための住居
  • 認知症高齢者グループホーム:認知症高齢者のための共同生活住居

民間の高齢者施設には自立している人を受け入れるタイプもあり、自分が受けたいサービスなどから施設を選ぶ必要があります。

老後に生活したい地域の施設を調べ、費用などを確認しておくとよいでしょう。