年収の「坂」を年収の「壁」だと勘違いしている人も多い?

上記のように、年金保険料等の社会保険料には年収の壁があり、サラリーマンの専業主婦は年収が130万円を超えないように注意するインセンティブとなっています。

それ以外にも年収が100万円を超えると専業主婦自身が住民税を払う必要が生じたり、年収が150万円を超えると配偶者であるサラリーマンの税金が高くなったりする点もしばしば話題となりますが、そちらはさほど心配する必要はないでしょう。

住民税については、支払い義務が生じても、最初は少額です。多く働いた方が手取りは増えるわけで、年収の「壁」ではなく「坂」といえるでしょう。

年収が150万円を超えるとサラリーマンが配偶者控除を受けられなくなり、サラリーマンの支払う所得税が増えてしまいますが、これも一気に増えるわけではありません。

配偶者特別控除なるものが別途用意されており、それも加味して考えれば、やはり年収の「坂」となっているからです。

気になるのは、これらとは別の制度で、パート等が一定以上の時間働くと厚生年金に加入させられる(※)、というものでしょう。

この場合には、やはり急に年金保険料の負担が増えるので、年収の「壁」となるからです。もっとも、老後に厚生年金が受け取れるようになるので、生涯所得的には加入しておいた方が得な場合が多いかもしれません。

※パート・アルバイトで厚生年金の加入対象となる人とは:2023年3月現在、従業員数101人以上の勤め先で、「週の所定労働時間は20時間以上」などの条件を満たす人

出所:厚生労働省「パート・アルバイトのみなさまへ~あなたの年金が変わる~大切なお知らせ~」