サラリーマン世帯の専業主婦が国民年金保険料を払わなくてよい、という制度は撤廃すべきです(経済評論家 塚崎公義)。

サラリーマン世帯の「専業主婦」は年金保険料を払わなくて良い

年金の制度は複雑ですが、本稿が問題視しているのはサラリーマン世帯(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)の専業主婦(専業主夫を含む。以下同様)が優遇されすぎている、ということです。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

公的年金は国民を3つのグループに分けています。

サラリーマンは、厚生年金保険料を給料から天引きされ、老後は国民年金(老齢基礎年金と呼ばれます)と厚生年金が受け取れます。サラリーマン世帯の専業主婦は年金保険料を払わなくても、老後は国民年金を受け取れます。

それ以外の人は自分で国民年金保険料を払い、老後に国民年金を受け取りますが、保険料を払わないと老後に年金が受け取れません。年金保険料は年間約20万円(※)ですから、20歳から60歳までの40年間で約800万円支払う必要があるわけです。

この国民年金保険料は、自営業者世帯の専業主婦や独身者、さらにいうと、失業者世帯の専業主婦にも支払い義務があります。

そこでサラリーマン世帯の専業主婦にだけ支払義務がないというのは不公平だと言えるでしょう。この制度を廃止して、全員が年金保険料を支払うことにすべきです。

※参考:2023年度の「国民年金保険料」は1万6520円(月額)

国民年金保険料(2023年度):月額1万6520円・年額19万5000円

国民年金保険料について

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

次では「第3号被保険者」の年金をめぐる問題点について深掘りしていきます。