2023年3月3日、総務省より「「2020年基準消費者物価指数 東京都区部 2023年(令和5年)2月分(中旬速報値)」が公表されました。

全国結果に先立ち、先行指標として注目される物価指数の前年同月比は3.4%の上昇。

前月比は0.6%の下落となったものの、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数はやはり0.3%の上昇です。

老後を迎えると、年金が少なければこうした物価上昇で家計が苦しくなるでしょう。なんとか年金を増やしたいと考えるのではないでしょうか。

比較的手軽に年金の額面を増額できるのが「繰下げ受給」ですが、加給年金の対象となる夫婦は注意が必要です。

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1. 繰下げ受給のしくみとは

公的年金には国民年金と厚生年金があります。どちらも原則65歳から受給開始となりますが、66歳以降に遅らせることで、受給額をアップさせることができます。

これを年金の繰下げ受給といいます。

増加率は1カ月遅らせるごとに0.7%なので、1年間遅らせると8.4%にもなる計算です。

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出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成

ただし、繰下げ受給にはメリットばかりというわけではありません。

2. 夫婦は注意!加給年金と繰下げ受給の関係

繰下げ受給のデメリットとして1番目に挙げられるのは「加給年金」との兼ね合いです。

2.1 加給年金とは

加給年金とは年下の妻や一定の条件を満たす子どもがいる場合に上乗せして支給される手当てで、年金の「扶養手当」のようなイメージです。

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出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

妻が一定の要件を満たす場合、1年あたり22万3800円が年金に加算されます。

さらに老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万3100円から16万5100円が特別加算されます。

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出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

2.2 繰下げ受給をすると加給年金がもらえない

日本年金機構によると、繰下げ受給の注意点として下記のとおり注意喚起されています。

加給年金額や振替加算額は増額の対象にならない。また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができない。

引用:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

加給年金は妻が65歳まで受給できるので、仮に5歳差の場合、112万円が受給できなくなります。

3. 繰下げ受給の注意点8選

日本年金機構によると、繰下げ受給の注意点は他にもあります。全て見ていきましょう。
 

  1. 加給年金額や振替加算額は増額の対象にならない。また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができない。
  2. 65歳に達した時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月を過ぎて請求を行っても増額率は増えない。
  3. 日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)を受け取ることができる場合は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ受給の請求をしなくてはいけない。
  4. 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるときは、繰下げ受給の申出ができない。ただし、「障害基礎年金」または「旧国民年金法による障害年金」のみ受け取る権利のある方は、老齢厚生年金の繰下げ受給の申出ができる。
  5. 66歳に達した日以降の繰下げ待機期間中に、他の公的年金の受給権(配偶者が死亡して遺族年金が発生した場合など)を得た場合には、その時点で増額率が固定されるため、年金の請求の手続きを遅らせても増額率は増えない。
  6. 厚生年金基金または企業年金連合会(基金等)から年金を受け取っている方が、老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、基金等の年金もあわせて繰下げとなる。
  7. このほか、年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金に影響する場合がある。
  8. 繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできない。繰下げ待機中に亡くなった場合で、遺族の方からの未支給年金の請求が可能な場合は、65歳時点の年金額で決定したうえで、過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われる。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れなくなる。


特に年金の額面が増えることにより、税金や保険料が増えることには注意が必要です。

せっかく増やしたのに、思った以上に手取りが増えないということは避けたいですね。

4. 繰下げ受給と加給年金の関係を知った上で選択を

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Chaay_Tee/shutterstock.com

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老後生活には年金収入が大きなウェイトを占めるため、年金額は高いほど安心できます。

その有効な手段は間違いなく繰下げ受給ですが、一方で注意したい点があるのも事実です。

制度のデメリットを把握した上で、それを上回るメリットを感じる場合に利用しましょう。

判断が難しい場合、年金事務所等に相談することもできます。

厚生年金か国民年金のどちらか一方だけを繰り下げることや、夫婦の1人だけが利用することを提案されることもあります。

いろいろな選択肢について、メリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。

参考資料

太田 彩子