1. 老齢年金の繰下げ受給とは

年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受け取る老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給開始時期を、66歳以降に遅らせることです。

繰下げ受給によって年金が増額するため、有効な老後対策と言えます。

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

支給開始時期は、66歳から75歳まで月単位で任意で決められます。

1ヶ月繰り下げるごとに年金額は0.7%増額するため、65歳で受け取る年金額を100万円と仮定すると、繰下げ受給した場合の年金額は、支給開始時期によって次の通りです。

・70歳支給開始:年金額142万円(=100万円×0.7%×60ヶ月)
・75歳支給開始:年金額184万円(=100万円×0.7%×120ヶ月)

※65歳以降は厚生年金未加入、年金に加算がないことなどが前提の試算です。

繰下げ受給を選んで得をするかどうかは、死亡した年齢によって変わります。65歳受給(65歳から年金受け取り)を選んだ場合と、繰下げ受給(70歳から年金受け取り)を選んだ場合の総受取額は、次の通りです。

・75歳死亡:65歳受給の場合は総額1000万円、繰下げ受給の場合は総額710万円
・82歳死亡:65歳受給の場合は総額1700万円、繰下げ受給の場合は総額1704万円
・90歳死亡:65歳受給の場合は総額2500万円、繰下げ受給の場合は総額2840万円

65歳受給と比較すると、繰下げ受給は早く亡くなると損をし、長生きすると得することになります。