3. 老齢年金を「繰下げ受給」しない方がいい人

年金を「繰下げ受給」しない方がいい人は次の通りです。

3.1 加給年金を受け取れる人

老齢厚生年金に加算される「加給年金」を受け取れる人は、繰下げ受給開始までの分はもらえない、繰下げしても年金額が増えないためおすすめではありません。

加給年金(配偶者加給)は厚生年金に20年以上加入した人に、厚生年金20年未満の配偶者がいる場合、本人が65歳から配偶者が65歳になるまで受け取れる年金です。

年額38万8900円(2022年度)と高額ですが、繰下げ受給開始前に配偶者が65歳になると一切受け取れません。

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

3.2 年金額が多い人

年金額が多い人や仕事をしていて総収入が多い人は、繰り下げによって税金や健康保険料などが高くなる可能性があります。

繰下げ受給して年金額が増えても、税金などがアップすると手取り収入はあまり増えない可能性もあります。

税金や健康保険料などを含めて、繰下げ受給をするかどうか検討しましょう。

3.3 確実に年金を受け取りたい人

早く亡くなって年金で損をするのが嫌な人や繰り下げてよかったのか不安を感じる人は、繰下げ受給せずに65歳受給を選択したほうがいいでしょう。65歳から確実に年金を受給できます。

実際に繰下げ受給をしている人は年金受給者の1~2%で、9割以上の人が65歳受給を選択しています。

【参考】新法厚生年金保険(老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

65歳受給が一般的なので、損が心配な人や選択に不安を感じる人には向いています。