70歳代「ひとり世帯」の月の生活費を確認

では、70歳代ひとり世帯の生活費も確認してみましょう。

総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の月の生活費は14万4747円(消費支出13万2476円、非消費支出1万2271円)です。

出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」

月で14万4747円ですので、年換算で173万6964円です。

消費支出13万2476円の内訳は以下のとおりです。

出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」をもとに筆者作成

住居費は1万3090円と低いですが、70歳代は持ち家率が高いためであると予想されます。

持ち家ではなく、賃貸物件に居住する場合、住居費はさらに高いと思われます。

また、保険医療費は1万円以下ですが、年齢を重ねると増える可能性もあります。最近の燃料費高騰により、上記より光熱費が上がる可能性もあるでしょう。

上記の生活費は参考値であり、ご家庭にあわせて考える必要があります。

70歳代「ひとり世帯」の老後の不足額は?

70歳以降で老後資金はいくら不足するのでしょうか。

2022年7月29日に公表された厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、70歳時点の平均余命は男性15. 96年、女性は20. 31年です。

先程の総務省調査によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の月の不足額は9402円です。

平均余命をもとに男性、女性それぞれの老後資金の不足額を試算します。

  • 男性:9402円×12カ月×15.96年=180万0671円
  • 女性:9402円×12カ月×20.31年=229万1455円

男性は約180万円、女性は約230万円が不足する可能性があります。

しかし、実際には世帯ごとの家計状況やライフスタイルによって70歳以降に必要な老後資金は変動します。

特に年金受給額により、収入部分の差も大きくなることに留意してください。

また、生活費の赤字だけでなく旅行や趣味、リフォーム、病気や介護費用なども用意する必要があるでしょう。