投信1編集部によるこの記事の注目点

  •  価格上昇率が著しいとされたタワーマンションの中にも、すでに下落傾向のマンションが出てきています。この調査は、マンションサプリが中古マンション相場サイト「マンションマーケット」のデータをもとに、2015年11月に価格調査を行った8つのタワーマンションについて、その後の価格推移と現在の相場を改めて調査をしたものです。
     その結果、2015年11月時点と2017年3月の価格を比較すると、8つのマンションで価格が上昇していたのは2つのマンションにとどまり、そのほかのマンションでは「横ばい」もしくは「下落」傾向のマンションが多いことがわかりました。
  •  異常な価格高騰も見られた一時の不動産市況の熱が収まり、需要と供給のバランスが取れつつあるといえそうです。

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価格高騰が話題となっていた不動産市況も遠く、現在の不動産価格はもっぱら‟下落した”とする声がほとんどです。2015年12月にマンションサプリで公開された記事「都心タワーマンションの中古価格上昇に陰り?マンションスコアからタワーマンションの最新価格動向を読み解く!」でも、価格上昇率が著しいとされたタワーマンションながら、中にはすでに下落傾向のマンションがあることが紹介されていました。

この度マンションサプリでは前回調査を行ったマンションが、その後どのような価格推移をたどり、また現在の相場はどうなっているのか改めて調査を行いました。

※今回調査したマンションは前回記事と同様の以下の8つのマンションです。

  • セントラルレジデンス新宿シティタワー(新宿区)
  • パークコート麻布十番ザ・タワー(港区)
  • クロスエアタワー(目黒区)
  • 赤坂タワーレジデンストップオブザヒル(港区)
  • ザ六本木東京クラブレジデンス(港区)
  • 白金タワー(港区)
  • パークタワー目黒(目黒区)
  • シティタワー大崎ステーションフロント(品川区)

下落傾向にあったマンションのその後は?

2015年12月に公開された記事の中で、すでに下落傾向があるとされていたマンションは「セントラルレジデンス新宿シティタワー」「パークコート麻布十番ザ・タワー」。その後、盛り返すことはできたのでしょうか?確認してみましょう。

セントラルレジデンス新宿シティタワーは「横ばい」

  • 2015年11月:94.1万円/㎡
  • 2017年3月:95.3万円/㎡

セントラルレジデンス新宿シティタワーは2015年中旬に大きく価格が上昇したものの、2015年2月の98.8万円/㎡をピークに、その後は価格の下落が続いていました。2015年末にかけ㎡単価を約5万円上昇させ94.1万円/㎡となり、2016年に入っても価格を大きく落とすことなく、およそ93万円~95万円/㎡でほぼ横ばい状態が続いていました。2016年9月から12月にかけマイナス約4万円/㎡の下落がありましたが、2017年に入りすぐに盛り返し、3月時点でも95.3万円/㎡と、結果的に2015年11月時点の価格とほぼ横ばい状態となりました。

パークコート麻布十番ザ・タワーは「上昇」

  • 2015年11月頃:163万円/㎡
  • 2017年3月時点:170.1万円/㎡

パークコート麻布十番ザ・タワーは、2015年11月の時点ですでに価格下落中だったマンションです。しかし2015年12月に下落傾向がおさまり、2016年に入ってからは上昇を続けていました。なんと2016年8月には、2015年最高額の180.8万円/㎡を超える186.6万円/㎡を記録しました。本マンションの築年は2010年5月。築6年以上経過したにもかからず2010年12月の173.3万円/㎡を大きく上回る価格となっていました。しかし8月以降、ゆるやかに下落を続け、2017年2月時点で162.4万円/㎡に。現在は上向き傾向となっており、2015年11月時点の㎡単価をわずかに上回る結果となりました。

価格を維持していたマンションのその後は?

価格を維持しているとされたマンションは、「クロスエアタワー」「赤坂タワーレジデンストップオブザヒル」「ザ六本木東京クラブレジデンス」。早速、その後の価格推移を確認していきましょう。

クロスエアタワーは「下落」

  • 2015年11月:122.1万円/㎡
  • 2017年3月:118.4万円/㎡

クロスエアタワーは、2015年11月に比べると2016年に入ってから価格の下落傾向が強まり、2016年6月には113.2万円/㎡と2015年11月から約10万円/㎡の下落が見られました。その後価格は少しずつ回復し、120.1 万円/㎡まで上昇しました。2017年に入ってからわずかに下落したものの、2017年3月時点時点で118.4万円/㎡と2015年11月時点の価格と差を縮めつつあります。

赤坂タワーレジデンストップオブザヒルは「下落」

  • 2015年11月: 178.7万円/㎡
  • 2017年3月:173.7万円/㎡

赤坂タワーレジデンストップオブザヒルは、2015年夏以降、過去6年の㎡単価に比べ最高価格帯の178~179万円でキープを続けていた赤坂タワーレジデンストップオブザヒル。2016年に入ってからも途中に下落があったものの、7月には179.5万円/㎡と高い価格水準を維持していました。1ヵ月で価格は急落してしまいましたが、その後も170万円/㎡前後で推移していました。3月に入り若干上向き傾向に変わったものの、2017年3月時点で173.7万円と2015年11月に比べ約5万円/㎡価格を落とす結果となりました。

ザ六本木東京クラブレジデンスは「横ばい」

  • 2015年11月:187.3万円/㎡
  • 2017年3月:189.6万円/㎡

ザ六本木東京クラブレジデンスは、2014年から2015年にかけて、価格を大きく伸ばし2014年の143.5万円/㎡に比べ、プラス約50万円/㎡の193.4万円/㎡を記録していました。2015年11月時点では187.3万円/㎡と、すでに下落傾向にある時期でしたが2016年4月から5月にかけて盛り返しました。その後は急落はないものの緩やかに下降傾向を続け、2017年3月時点で189.6万円/㎡と、190万円/㎡を下回ってしまいました。結果、2015年11月時点の187.3万円/㎡に近い価格となりました。

上昇を続けていたマンションのその後は?

多くのマンションが価格の上昇が止まりつつあった当時においても、順調に価格上昇を続けていたのは「白金タワー」「パークタワー目黒」「シティタワー大崎ステーションフロント」。価格上昇の波はどこまで続いているのか見てみましょう。

白金タワーは「下落」

  • 2015年11月:154.3万円/㎡
  • 2017年3月:138.5万円/㎡

白金タワーは、2015年11月に過去6年の中で最も高額な154.3万円/㎡を記録していました。2016年に入ってからも4月までは150万円台/㎡でキープしていました。しかし4月を境に下降のスピードを強め8月には141.8万円/㎡と2015年11月に比べ10万円/㎡を超えるマイナスとなってしまいました。一時的な価格上昇はあるものの、2017年3月に至るまで下降を続け2015年11月時点から約16万円/㎡のマイナスとなりました。

パークタワー目黒は「上昇」

  • 2015年11月:160.1万円/㎡
  • 2017年3月:168.2万円/㎡

パークタワー目黒は2015年11月時点で160.1万円/㎡でしたが、2016年末まで好調な価格推移をたどっており、2016年11月には過去6年間における最高額175.2万円/㎡に近い174.5万円/㎡を記録していました。しかし2017年に入り下落が始まり、2017年3月時点で168.2万円/㎡となりました。下落したとはいえいまだ高い価格水準をキープしており、今後の推移に注目したいところです。

シティタワー大崎ステーションフロントは「横ばい」

  • 2015年11月:89.6万円/㎡
  • 2017年3月:92.4万円/㎡

シティタワー大崎ステーションフロントは、2015年11月の時点でも順調に価格を伸ばしている最中ではありましたが、2016年に入ってさらに上昇傾向が強まり、2016年3月時点で95.3万円/㎡に達していました。その後2016年の間は大きく下落することなく価格を維持できており、とても安定した推移となっていました。2017年に入り雲行きは怪しくなってはいるものの、2017年3月時点で、2015年11月とほぼ同等額の92.4万円/㎡となっています。

まとめ

2015年11月時点と2017年3月の価格を比較すると、「横ばい」もしくは「下落」傾向のマンションが多いようです。一部では間に価格を落としながらも再び盛り返し、結果的に価格を上昇させているマンションもありますので、一概にマンション価格は落ちているとは言えません。以前のような短期間で数十万円の上昇・下落といった急激な価格変動は見られず、毎月微調整を重ねているような印象を受けます。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表したデータによると、レインズに新規登録されたマンション件数が2015年11月は前年同月比33.2%増加だったのに対し、2017年3月では前年同月比-2.0%と、マンションを売り出す人が少なくなっていることが分かります。異常な価格高騰も見られた一時の不動産市況の熱が収まり、マンションを売る側の方の価格意識も冷静になり、以前に比べ需要と供給のバランスが取れつつあるということかもしれません。

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いかがでしたか? この調査以外にも「マンションサプリ」ではマンションに関する役立つ情報をお届けしています。マンションに住んでいる、または住むことを検討しているという方はぜひ参考にしてみてください。

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