帝国データバンク「23年値上げ、前年比2倍ペース」によれば、2023年に値上げする食品は主要食品メーカー195 社で4月までに1万品目を超えており、2月で5463品目、3月で2716品目、4月で3192品目となっています(2023年1月31日公表)。

冬から春にかけてただでさえ光熱費や歓送迎会などの費用がかかる方もいると思いますが、依然として家計が厳しい状況が続きそうですね。

特にひとりで生活する「おひとりさま」にとっては、定年後、年金生活に入るとより不安を抱えるかたもいるでしょう。

では、現代の60歳代・ひとり世帯の貯蓄はどのくらいでしょうか。

貯蓄と年金で老後生活を送れるのか、60歳代「おひとりさま」のリアルを確認します。

【注目記事】70歳代「ひとり暮らし」の厳しい貯蓄事情。人生100年時代を生き抜くには【最新データ】

60歳代「おひとりさま」は増加傾向に。平均貯蓄額はいくら?

年金の受給開始年齢は基本的に65歳からです。60歳代は働く方も多いですが、会社を退職し年金で生活しはじめる人も少なくありません。

内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、一人暮らしの者の中で65歳以上人口に占める割合は1980年以降増加し続け、2020年には男性15.0%、女性22.1%となっています。

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出所:内閣府「令和4年版高齢社会白書 3.家族と世帯」

出所:内閣府「令和4年版高齢社会白書 3.家族と世帯」

同白書では、一人暮らしの者の65歳以上人口に占める割合は今後も増加すると予想しています。

増加する60歳代・ひとり世帯の貯蓄を確認しましょう。

60歳代「おひとりさま」の貯蓄はいくらか

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、60歳代の単身世帯の平均貯蓄額は1388万円です。

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出所:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有…28.5%
  • 100万円未満…8.0%
  • 100〜200万円未満…5.7%
  • 200〜300万円未満…4.3%
  • 300〜400万円未満…3.6%
  • 400〜500万円未満…2.7%
  • 500〜700万円未満…6.2%
  • 700〜1000万円未満…4.6%
  • 1000〜1500万円未満…6.6%
  • 1500〜2000万円未満…3.6%
  • 2000〜3000万円未満…6.8%
  • 3000万円以上…16.9%
  • 無回答…2.5%

平均貯蓄額1388万円に対して、より実態に近い中央値は300万円です。

貯蓄がない世帯が28.5%である一方で、3000万円以上の世帯が16.9%あります。

60歳代は退職金を受け取る年代ですが、若い頃からの貯蓄にあわせて退職金の金額の差などもあり、世帯間の貯蓄額に大きな差が出ていると予想されます。

60歳代「おひとりさま」の厚生年金と国民年金

日本の公的年金は「厚生年金」と「国民年金」の2階建て構造です。

国民年金は原則20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、厚生年金は会社員や公務員などが加入します。

60~69歳代の厚生年金の平均受給額

2022年12月に公表された厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳から69歳までの厚生年金の平均受給月額は以下のとおりです。

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出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

上記の厚生年金の平均受給月額には、国民年金が含まれています。

平均受給月額は60歳から64歳で7万7274円、65歳から69歳で14万3613円です。

原則65歳が受給開始年齢ですが、60~64歳は特別支給の老齢厚生年金の金額となっています。

60~69歳の国民年金の平均受給額

同資料によると、国民年金の平均年金月額は60歳から64歳で4万2512円、65歳から69歳で5万7739円でした。65歳より前は繰上げ受給の金額となっています。

20歳以上60歳未満の40年間保険料を納付した方は、国民年金の満額を受給できます。日本年金機構によると、令和4年4月分からの年金額は満額で6万4816円です。

上記は平均額になり、実際には加入状況により個人差があるので、ねんきん定期便やねんきんネットなどで確認するといいでしょう。

65歳以上「おひとりさま」月の生活費の不足額は?

では、60歳以降の年金生活で生活費は月いくら必要になるのでしょうか。

2022年7月29日に公表された厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、60歳時点の平均余命は男性24.02年、女性29.28年です。

仮に60歳以降に25年生きると仮定して、老後資金を試算します。

総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の実収入が13万5345円、実支出が14万4747円、毎月の不足分は9402円です。

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出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」

出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要」

60歳以降に不足する老後資金は以下のとおりです。

9402円×12カ月×25年=282万0600円

60歳時点で約282万円の貯蓄があれば、貯金を取り崩して老後生活が送れると試算できます。

60歳代の貯蓄の中央値300万円を下回るので、貯蓄だけで生活できる世帯は多いかもしれません。

ただし、世帯によってライフスタイルや家計収支が異なるので、上記の試算がすべての世帯に当てはまるわけではありません。収入の多くを占める年金受給額についても、個人差が大きいでしょう。

また、旅行や趣味、病気をしたときや介護費用などは別に用意する必要があります。

60歳代からの老後に備えた資産設計を

60歳代・ひとり世帯の平均貯蓄額は1388万円ですが、中央値は300万円です。

人生100年時代と言われる中で、老後資金が不足する世帯は増える可能性があります。

現役時代から資産形成を行ったり、定年後も仕事を続けて生活費を確保したりといった工夫が求められるでしょう。

参考資料

LIMO編集部