ドラッグストアは高成長

都心部でも郊外でもドラッグストアを見ない場所はないのではないでしょうか。

日本チェーンドラッグストア協会の推計では、ドラッグストアの総店舗数は「16年度に1万8874店」となり、「00年度比6割増」になったと日本経済新聞が報じています(2017年7月9日)。

ちなみに、セブン-イレブン・ジャパンの国内店舗数は2017年6月末現在19,588店舗です。この数値と比較するとドラッグストアがどれほど多いのか実感がわくのではないでしょうか。

ドラッグストアは儲かる

一方、「ドラッグストア全体でセブン-イレブン・ジャパン1社程度であるなら、ドラッグストアはまだまだ店舗を増やせそうだ」、そんな感想も聞こえてきそうです。

ドラッグストアの成長はまだまだ続くというシナリオはもっともではないでしょうか。なぜならドラッグストアは儲かるからです。

直近決算(主に2017年2月期、同3月期)の売上高経常利益率を見ると、高いものは6.7%、低いものは1.5%ですが、その平均は約4%です。

マツモトキヨシホールディングス(3088)は5.8%、ウエルシアホールディングス(3141)で4.1%ですので、この4%という数値は典型的なドラッグストアの収益率を示していると見て差支えなさそうです。

実はこの4%、かなり良い数値です。消費不振、小売不振が言われて久しいですが、仕入れ販売を中心に事業を展開する小売業で4%もの経常利益が売上高に対して残せる業態はあまりありません。総合小売りのGMSが赤字体質からなかなか脱することができない状況とは対照的です。

このように、しっかりお店を出せば利益も確実に出るという構造にあることがドラッグストア飛躍の最大の要因です。

医薬品と化粧品あればこそ

では、なぜ利益が出るのか考えてみましょう。

その秘密は薬剤師を配置して医療用医薬品の調剤事業を行えること、そして一般医薬品の販売が行えることにあります(一般医薬品の販売は規制緩和されつつあります)。さらに化粧品の取り扱いが大きいこともドラッグストアの強みです。

ある上場ドラッグストアの開示資料をひも解くと、医薬品と調剤の粗利率は30%台後半、化粧品の粗利率が30%超とありました。

確かに薬剤師の人件費はコスト高要因と言われますが、薬剤師の供給に制約があるうえ、薬剤師しか販売できない高採算の商品があるため利益確保は難しくないでしょう。

しかもこれらの商品は場所をとらず、製品寿命も食品などに比べて長く、価格変動のリスクも小さいため、都心部においても郊外においても売り場づくりを考えるうえで重宝する存在です。

高利益率の商品を扱えることは、他の商品の値下げ原資になります。ドラッグストアの日用品の安さはこうした背景から生まれます。

ドラッグストア、まだまだ増える!?

このように見てくると、ドラッグストアの快走はまだまだ続きそうです。

しかも、今後は公的医療費抑制のため、自分自身で健康の維持増進を図るいわゆる“セルフメディケーション”が進んでいきそうです。そうした時代になるほど、身近なドラッグストアが今よりも大きな役割を果たすことは想像に難くありません。

しかし、コンビニは以前からこの市場をうまく取り込みたいと狙っていますし、ECにおける一般医薬品の規制緩和も折に触れて蒸し返されるなど、異業種との競争も厳しくなっていくと考えておくべきでしょう。

地域に根差し、一人一人の利用者の良き相談役になることがドラッグストアの本当の発展のカギになりそうです。

LIMO編集部