ドル売り・株買いの流れとなった先週の金融市場。今週は20日に欧州中央銀行(ECB)理事会とドラギECB総裁の会見が予定されています。

金融緩和縮小が世界的に市場のテーマとして浮上しつつある中、ドラギ総裁の会見で金融緩和縮小について具体的な発言があるのか、そして会見を機にどのような値動きが生じるのか、注目が集まる週となりそうです。

先週の振り返り

先週の為替市場では、12-13日に行われた米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長による議会証言に注目が集まりました。これまでのイエレン議長のスタンスから無風で通過すると思われた議会証言ですが、イエレン議長は年内の利上げに慎重な姿勢を示し、市場は驚きをもってその発言を受け止めました。

また、それに先立つ11日にはトランプ大統領の長男のロシア疑惑が報じられ、ドルが売られる展開になりました。11日のロシア疑惑でドル売り、12-13日のイエレン議長の証言で株買い、14日発表の6月小売売上高が市場予想を下回りさらなるドル売りと、市場は慌ただしく動くこととなりました。

その結果、ドル円は114円半ばを天井に反転し、それまでの円安が一転しました。また、ドルインデックスは6月の安値を更新し、アメリカの株式市場ではダウ平均が最高値を更新し、落ち込んでいたナスダック指数も6連騰となっています。

ドルインデックスが下落、VIX指数も下落しリスクオンへ

6月の下落後、7月に入り小康状態を保っていたドルインデックスですが、上述のトランプ大統領長男のロシア疑惑浮上で下落を開始。安値更新で再び下落トレンド入りしています。

それとタイミングを同じくして、恐怖指数とも言われるVIX指数も下落。7月に入り、歴史的な安値水準から脱出しつつあったVIX指数ですが、再び安値へと沈むこととなりました。一方、金価格はそれほど大きく動いてはいないものの、VIX水準からはリスクオンの状態となっています。

今週の為替市場

今週の為替市場は20日にECB理事会とドラギ総裁の会見が予定されています。昨年来、それほど注目を浴びることのなかったドラギ総裁の会見ですが、先月のポルトガルでのコメントから金融緩和縮小を嗅ぎ取った市場が急変したことは記憶に新しいところです。

FRBに続き、ECBもいずれ金融緩和縮小の方向に向かうことが予想されているため、本人の意図とは関係なく、ドラギ総裁の発言を契機に市場が大きく動く可能性があるので注意が必要です。

米国では先週のFRBイエレン議長の議会証言で、利上げについては保守的なスタンスが明らかになりました。しかし、イエレン議長はテーパリング=量的金融緩和縮小については年内の開始予定を明言しています。ただし市場はテーパリング開始についてそれほど意識はしてはいない模様です。

為替市場では下落を開始したドルとユーロの力関係に注目です。これまで上昇してきたユーロ/ドルは7月に入り1.1500ドル目前に足踏みしており、1.1500ドルを超える展開となるかどうかが見どころだと思われます。

また、5月のサポレジでもある114円半ばで折り返したドル/円は、このまま下落してしまうのか、それとも先週の下落は戻しとなり、再度上昇を開始するかどうかがポイントです。

ドルとユーロと円の関係で言えば、金融緩和縮小が困難な円が買われる理由は少ない中(なお、19~20日に日銀政策決定会合が開催)、ドルとユーロの力関係でユーロ/ドル、ドル/円の方向性が決まります。今週はドラギ総裁の会見を契機に、ドルとユーロの力関係に変化が生じるかにも注目したいところです。

まとめ

金融市場では金融緩和縮小が現実味を帯びてきています。FRBは既に2度の利上げを行い、テーパリングも年内開始が予定される中、ECBがどのタイミングで金融緩和縮小に具体的な舵を切るのかが今後の大きなテーマとなります。

20日に予定されているECBドラギ総裁の会見で何が語られるのか、そして市場はどう反応するのかにまずは注目したいと思います。

LIMO編集部