【日経平均株価】日銀の黒田総裁の後任に経済学者の植田氏

2023年2月10日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比86円63銭高の2万7670円98銭となりました。4日ぶりの反発ですが上げ幅はわずかでした。

前日に東京エレクトロンが今期業績見通しの上方修正を発表したことから買われ日経平均を押し上げました。

また、円相場が円安・ドル高に振れたことを受けて自動車や機械など、輸出関連銘柄も買われました。ただし、前日に米国株式相場が下落していたことから上値は限定的でした。

今週の動きはどうなるでしょうか。国内で注目すべきは日銀の新総裁です。政府は日銀の黒田東彦総裁の後任に、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事を固めました。

経済学者からの総裁就任は戦後初です。植田氏は日本を代表する金融政策の研究者で、米マサチューセッツ工科大学で経済学の博士課程を修了した際の指導教官は元米連邦準備理事会(FRB)副議長のスタンレー・フィッシャー氏です。

ベン・バーナンキ元議長やドラギ元欧州中央銀行(ECB)総裁もフィッシャー氏に学んでいます。世界での人脈のほか、日銀の実務にも精通していることも評価されたと思われます。

注目されるのは、これまで10年続いた異次元緩和が変わるのかという点です。植田氏はさっそく「金融緩和の継続が必要だ」と語りました。植田氏が総裁になることによって金融引き締めに動くのではないかと考える市場の混乱を避けるためだと思われます。今後の動向が注目されます。

10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比169ドル39セント高の3万3869ドル27セントで終えています。

日本株も底堅い展開になることが期待されます。ただ、上値の重さも感じられます。植田総裁による新体制での方向感が示されるまでは様子見になるかもしれません。

14日には米消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場ではインフレの鈍化を見込んでいますが、予想外の結果になると、FRBの金融引き締めが継続すると見られ失望売りにつながります。