マイホームや賃貸経営のために不動産取得を考える際、気になるのが税金ではないでしょうか。不動産取得税は、新たに土地や建物を得ると課税される地方税です。ただし、非課税枠が設けられているため、すべての人が課税されるわけではありません。非課税枠の対象外でも、軽減措置により不動産取得税がかからないケースもあります。この記事では、不動産取得税が非課税になる条件と具体例を紹介します。

1. 不動産取得税の仕組み

不動産取得税は、不動産を得たときに一度だけ支払うため、毎年支払うものではありません。2024年3月31日までは税額が軽減されており、住宅は“固定資産税評価額×3%”で計算します。宅地などの土地は、“固定資産税の2分の1の価格×3%”です。

課税対象になった場合、都道府県税事務所に不動産取得税の申告が必要です。申告後約6ヶ月以内に、不動産取得税を記載した納税通知書が送付されてきます。後述しますが、不動産取得税には非課税枠に加えて多くの軽減措置があります。計算の結果、課税されない人の元に納税通知書は送付されません。

ただし、非課税枠に該当したり、軽減措置によって税金がかからなかったりしても、不動産取得税の申告は行います。仮に申告期限を過ぎて軽減措置などの申請をしても受け付けてくれる自治体は多いですが、絶対とは言い切れません。本来支払う必要のない税金を納める事態になりかねないので、期限内の申告が大切です。

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2. 不動産取得税が非課税になるケース

ほとんどの取得方法が課税対象となりますが、中には制度によって非課税と定められているケースが存在します。該当する場合は、不動産取得後に“不動産取得税非課税申告書”を提出します。ここでは、5つの非課税枠を見てみましょう。

2.1 相続による不動産取得

相続によって取得した不動産は非課税です。そもそも不動産取得税は購入や贈与などの新規取得に加え、増築・改築で既存住宅の資産価値が上がっても課税されます。数ある取得方法の中で、相続は唯一非課税となる取得方法です。

ただし、遺言書により財産内容と受贈者を指定する“特定遺贈”に注意しましょう。特定遺贈のうち、法定相続人以外が財産を承継するケースは非課税枠の対象外です。受贈者が被相続人(亡くなった人)の配偶者・子・孫といった法定相続人であれば、特定遺贈でも課税されません。

また、財産内容を指定しない“包括遺贈”は、法定相続人以外が受贈しても非課税です。なお、相続税対策として行う“生前贈与”は、相続ではなく贈与ですので不動産取得税がかかります。

2.2 不動産価格が免税対象

取得した不動産の価格が低いと、免税対象になる可能性があります。以下の免税点いずれかに当てはまる場合、不動産取得税は非課税です。

  •  10万円未満の土地
  •  23万円未満の新築・増築・改築した建物
  •  12万円未満の取得した建物

ただし、免税された土地と隣接する土地を1年以内に取得すると、1つの土地としてあらためて価格を評価します。価格が免税点を超えると、課税対象になります。また、取得した建物と一構になる建物を1年以内に取得した場合も同様です。

2.3 特定の法人による事業用の不動産取得

特定の法人が、本来の事業に使うために不動産を取得した場合は非課税になります。主な特定法人と事業用途は次の通りです。

  •  学校法人:保育・教育の場に使う不動産
  •  宗教法人:境内建物および境内地
  •  社会福祉法人:老人ホームや児童養護施設などの社会福祉事業を行う不動産

あくまで、本来の事業用の不動産のみが非課税です。本来の事業と異なる用途のために取得した不動産は課税されます。

2.4 土地区画整理の換地や公共の用に供する道路・土地

土地区画整理にともない“換地”を取得した場合、不動産取得税はかかりません。所有している土地が区画整理され、新たに与えられた土地を換地と呼びます。

また、“公共の用に供する道路”の取得も非課税です。公共の用に供する道路とは、一般に開放されており広く利用されている私道を指します。たとえば、公道と公道の間にある私道は周辺住民に広く使われるため、公共の用に供する道路に該当します。

2.5 法人の合併または分割による不動産取得

組織再編により法人が合併または分割し、不動産を取得した場合は非課税になります。不動産の所有権が変わるだけであって、実際に新規取得したわけではないためです。ただし、会社分割の非課税には、“金銭等不交付要件”といった複数の要件を満たす必要があります。

3. 非課税対象外でも不動産取得税がかからないケースは?

ここまで、不動産の取得方法や価格によって決まる非課税枠を解説しました。しかし、非課税対象外でも、軽減措置により不動産取得税がかからないケースが存在します。主な軽減措置や、軽減措置適用後の計算例を紹介します。

3.1 新築・中古住宅は軽減措置の対象

新築住宅と中古住宅は、どちらも不動産取得税の軽減措置の対象です。新築住宅は、一律1,200万円が控除されます。したがって、建物部分に関しては固定資産税評価額が1200万円以下だと不動産取得税は0円になります。土地は別途計算が必要です。また、認定長期優良住宅であれば控除額が1300万円に増額されます。

一方、中古住宅の控除額は一定ではなく、築年数によって100万〜1200万円に変動する仕組みです。ただし、新耐震基準を満たさない中古住宅は、原則として控除の対象外です。取得後6ヶ月以内に新耐震基準に適合させる改修を行えば、3万〜12万6000円が控除されます。

3.2 軽減措置を適用した不動産取得税の計算方法

新築・中古住宅に軽減措置を適用する際は、不動産取得税の課税基準である固定資産税評価額から控除額を差し引きます。

  •  建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1200万円※)×3%

※中古住宅は100万〜1200万円。新築の認定長期優良住宅は1300万円

不動産取得税は土地にもかかるため、新築・中古住宅の敷地は以下の減税額を適用します。

  •  土地の減税額=(土地1m2あたりの固定資産税評価額の半額)×(住宅の床面積×2)×3%

減税額は下限が設けられており、計算結果が4万5,000円未満の場合は一律4万5000円になります。次に、計算した減税額を下記の計算式に当てはめ、土地の不動産取得税を算出します。

  •  土地の不動産取得税=(土地の固定資産税評価額×0.5×3%)−減税額(最低4万5000円)

建物と土地の不動産取得税を合算した金額が、軽減措置を適用した不動産取得税の総額です。

3.3 不動産取得税が0円になる例

軽減措置により、不動産取得税が0円になる具体例を見てみましょう。以下の条件を例にして計算していきます。

住宅:1998年築の中古マンション(住宅の床面積80m2、共有持分面積50m2)
固定資産税評価額:建物800万円、土地1500万円

建物:

  •  (固定資産税評価額800万円-控除1200万円)×3%=税額0円

土地:

  • (1500万円/50m2×0.5)×(80m2×2)×3%=減税額72万円
  • 1500万円×0.5×3%=不動産取得税22万5000円
  • 22万5000円−72万円=税額0円

建物と土地のどちらも0円なので、不動産取得税はかかりません。

4. まとめ

新居や投資物件を新たに得る際は、不動産取得税が発生します。ですが、相続による取得や免税点以下の不動産価値であれば非課税です。さらに、非課税枠に入らない不動産であっても、各種軽減措置の制度が存在します。軽減措置により不動産取得税がかからないケースも多いため、不動産を取得する際は軽減措置の対象であるか確認してみてください。

※この記事はLIFULL HOME'S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。

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LIFULL HOME'S 不動産投資編集部