3. 非課税対象外でも不動産取得税がかからないケースは?
ここまで、不動産の取得方法や価格によって決まる非課税枠を解説しました。しかし、非課税対象外でも、軽減措置により不動産取得税がかからないケースが存在します。主な軽減措置や、軽減措置適用後の計算例を紹介します。
3.1 新築・中古住宅は軽減措置の対象
新築住宅と中古住宅は、どちらも不動産取得税の軽減措置の対象です。新築住宅は、一律1,200万円が控除されます。したがって、建物部分に関しては固定資産税評価額が1200万円以下だと不動産取得税は0円になります。土地は別途計算が必要です。また、認定長期優良住宅であれば控除額が1300万円に増額されます。
一方、中古住宅の控除額は一定ではなく、築年数によって100万〜1200万円に変動する仕組みです。ただし、新耐震基準を満たさない中古住宅は、原則として控除の対象外です。取得後6ヶ月以内に新耐震基準に適合させる改修を行えば、3万〜12万6000円が控除されます。
3.2 軽減措置を適用した不動産取得税の計算方法
新築・中古住宅に軽減措置を適用する際は、不動産取得税の課税基準である固定資産税評価額から控除額を差し引きます。
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1200万円※)×3%
※中古住宅は100万〜1200万円。新築の認定長期優良住宅は1300万円
不動産取得税は土地にもかかるため、新築・中古住宅の敷地は以下の減税額を適用します。
- 土地の減税額=(土地1m2あたりの固定資産税評価額の半額)×(住宅の床面積×2)×3%
減税額は下限が設けられており、計算結果が4万5,000円未満の場合は一律4万5000円になります。次に、計算した減税額を下記の計算式に当てはめ、土地の不動産取得税を算出します。
- 土地の不動産取得税=(土地の固定資産税評価額×0.5×3%)−減税額(最低4万5000円)
建物と土地の不動産取得税を合算した金額が、軽減措置を適用した不動産取得税の総額です。
3.3 不動産取得税が0円になる例
軽減措置により、不動産取得税が0円になる具体例を見てみましょう。以下の条件を例にして計算していきます。
住宅:1998年築の中古マンション(住宅の床面積80m2、共有持分面積50m2)
固定資産税評価額:建物800万円、土地1500万円
建物:
- (固定資産税評価額800万円-控除1200万円)×3%=税額0円
土地:
- (1500万円/50m2×0.5)×(80m2×2)×3%=減税額72万円
- 1500万円×0.5×3%=不動産取得税22万5000円
- 22万5000円−72万円=税額0円
建物と土地のどちらも0円なので、不動産取得税はかかりません。