令和5年度の年金額改定が2023年1月20日に厚生労働省より公表されました。
それによると令和5年度は国民年金で6万6250円 、厚生年金のモデル夫婦(会社員の夫と専業主婦の妻)で22万4482円 です。
老後を支えてくれる公的年金ですが、親が認知症になった場合、年金や金銭にまつわるトラブルが起こる場合もあります。
親か認知症になった場合、「金銭管理をどのようにすればよいのだろう?」「金銭トラブルに巻き込まれるのでは?」と不安を感じる方もいるでしょう。
そこで本記事では、ケアマネジャーである筆者が親が認知症になったときによく起こる金銭トラブルについて解説します。
また、認知症の方の金銭管理をサポートする制度なども併せてご紹介します。
認知症の影響とは。認知症の人に多い金銭トラブル4つ
認知症が進行すると記憶力や判断力が衰えていくため、今まで自分でできていたお金の出し入れや支払い、通帳の保管などの金銭管理などが難しくなっていきます。
一人暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯では、日常生活に支障をきたしたり、思わぬ金銭トラブルに巻き込まれたりする危険性が高まります。
認知症になった場合に起こりやすい金銭トラブル4つをご紹介します。
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出所:LIMO編集部作成
それでは詳しく解説します。
認知症の人に多い金銭トラブル1.詐欺のターゲットになりやすい
認知機能が低下した高齢者は、相手をすぐに信用するなど簡単に騙しやすいため詐欺のターゲットになりやすい傾向でにあります。
たとえば、役所の職員や銀行職員を装った訪問者にキャッシュカードや現金を騙し取られたり、自宅に訪問した悪徳業者に高額な商品を購入させられたりなどのトラブルに遭いやすくなるため、注意が必要です。
認知症の人に多い金銭トラブル2.金銭管理が正しくできない
認知症により判断能力や記憶力が衰えると、お金の計算ができなくなり、計画的にお金を使えないなど正しい金銭管理ができなくなる場合もあります。
たとえば、年金が支給されると全て引き出してお金を使い込んでしまう、もしくは浪費して家族が気がついた時には多額の借金を抱えているなどのケースがあります。
認知症の人に多い金銭トラブル3.お金や通帳を盗られたと思い込む
財布や通帳の保管場所を忘れてしまうことなどをきっかけに、「盗まれた」と思い込む被害妄想を引き起こすケースもあります。
家族や知人など身近な人が盗んだと思い込むため、人間関係が悪化したり、介護する家族が疲弊したりする事例も少なくありません。
認知症の人に多い金銭トラブル4.預金口座が凍結される
認知症と判明すると金融機関に預金口座を凍結される可能性があります。
これは、認知症の方が詐欺などのトラブルに巻き込まれて財産を失うリスクを回避するためです。
預金口座が凍結されると、たとえ家族であっても預金の引き出しができなくなるため注意が必要です。
なお、口座の凍結を解除するには、このあと紹介する「成年後見制度」などを利用して手続きを行う必要があります。
認知症の方が利用できる公的な支援制度2つ
認知症の方やご家族が金銭管理の対策として利用できる公的な支援制度を2つご紹介します。
- 日常生活支援事業
- 成年後見制度
以下で詳しくみていきましょう。
公的な支援制度1.日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業は、判断能力が低下している高齢者などの生活を支える公的なサービスです。
利用するには、市区町村の社会福祉協議会への申請が必要です。
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出所:厚生労働省「日常生活自立支援事業」
支援内容は、預貯金の払い戻しや預け入れなどの日常的な金銭管理サービスをはじめ、通帳や印鑑、
また、介護・福祉サービスを利用する際の手続きの援助も受けられます。
利用料の目安は地域で異なりますが、たとえば訪問1回あたりの利用料は平均1200円。契約締結前の初期相談等の経費や、生活保護受給世帯の利用料は無料です。
公的な支援制度2.成年後見制度
認知症による判断能力の低下が重度の場合には、「成年後見制度」の利用をおすすめします。
成年後見制度とは、家庭裁判所が選任した成年後見人が本人の所有する不動産や預貯金の管理と介護・福祉サービスの利用契約などを本人に代わって行う制度です。
後見人が付くと、本人が誤って締結した契約を取り消すことが可能となるため、悪質業者からの被害を未然に防ぐことができます。
成年後見制度には2種類あり、認知症により判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」と、判断能力が低下した場合に備えて支援してくれる人や内容をあらかじめ決めておく「任意後見制度」があります。
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出所:法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」
成年後見制度に関する相談は地域包括支援センターが受け付けています。
家族間の話し合いは早いうちに
親が認知症の症状が軽いうちから、金銭管理をどうするか事前に家族で話し合っておきましょう。
お金の話は家族間であっても言い出しにくいものです。しかし、認知症による金銭トラブルを回避して親の大切なお金を守るためには避けて通ることのできない話といえるでしょう。
ただし、親の判断能力が残っているうちにお金の管理の全てを取り上げてしまうと、自尊心を傷つける可能性があります。認知症を悪化させるきっかけとなったり、家族間のトラブルに発展したりする場合もあるでしょう。
親の判断能力が残っているうちは少額のお金は親自身で管理してもらうといった対策をとるなど、自尊心を傷つけない方法で金銭管理をすることも重要です。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします 」
- 厚生労働省「日常生活支援事業」
- 厚生労働省 成年後見はやわかり「成年後見制度とは(ご本人・家族・地域のみなさまへ)」
- 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」
中谷 ミホ
