2022年12月21日に発表された、リネットジャパングループ株式会社経営近況報告会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:リネットジャパングループ株式会社 代表取締役社長CEO 黒田武志 氏

経営近況報告会

黒田武志氏(以下、黒田):株主総会に続いてご出席いただき、誠にありがとうございます。ここからは率直に、経営の近況についてお話をさせていただきたいと思っています。

先ほど株主総会でもお話ししましたが、直近の株価はかなり冴えない状況が続いており、たいへん申し訳なく思っています。そこで、現在行っている業績拡大と株価向上に向けた取り組みについて、お話しさせていただきたいと思います。

売上・利益の推移

最初に、上場からこれまでの振り返りです。2016年の上場から6年経ちますが、スライド左側の棒グラフは創業からの売上の推移になります。我々は2000年に創業し、今年で22年目ですが、売上は前期が85億円、今期の計画が100億円を超えるかたちということで、若干凸凹している年もあるものの、基本的には創業以来右肩上がりでずっとここまで伸びてきているという状況です。

右側は上場からの売上・利益の推移です。2016年12月に当時の東証マザーズ、現在のグロース市場に上場しました。上場を果たした2016年9月期の売上が37億3,000万円、経常利益が1億7,000万円だったのに対し、前期の2022年9月期は売上が85億9,000万円、経常利益が8億4,000万円と、この6年間で売上が2.3倍、利益が4.9倍の成長をしてきました。

株価の推移

株価の推移です。2016年12月20日の公募価格が366円で、初値が706円でした。その後、2019年2月1日に1,770円の高値が付きました。2022年12月20日現在の時点では430円前後ということで、ピーク時と比較すると4分の1程度に下がっているという状況です。

業績のグラフと株価のグラフを見ていただくと、株価が1,770円を付けた時というのは売上が85億円に大きく伸びる手前あたりになります。業績自体はさらに伸ばしているものの、2019年に付いた1,770円という高値からは下がっています。

株主総会でもご質問いただきましたが、私自身はこの株価についてまったく満足していないという状況であり、業績拡大や成長への取り組みなどが現在の株価に織り込まれていないのではないかと考えています。

1,770円が付いた当時は、個人投資家さまへのご説明はもちろん、機関投資家さまへのIRについて、当時は私自身も3ヶ月ごとに10社以上訪問していましたし、CFOは3ヶ月の間に20社から30社ほど回っていたという状況でした。

最近はそのあたりに時間を割けていなかったため、今後は再び個人投資家さま、さらに機関投資家さまへのIRなどにもしっかりと時間を取り、強化していきたいと思っています。

経営理念

業績拡大に向けた取り組みについてです。3ヶ月ごとに経営の補足説明資料ということで決算のご説明を行っていますが、現在特に重点を置いている環福連携を中心にご説明します。

我々は経営理念を大事にしている会社であり、「ビジネスを通じて『偉大な作品』を創る」という、少々ユニークな経営理念を掲げています。一言でいえば、収益と社会性の両立です。今、時代はSDGsやESGの時代になっていますが、我々は10年以上前からこのような理念を掲げて運営しています。

「作品」と呼んでいるのはこのビジネスモデルのことです。収益を稼ぐビジネスモデルの中にしっかりと社会貢献を組み込むということで、本業のビジネスで収益を上げるだけでもなかなか大変な中でも、そこにしっかりと社会貢献を組み込んだ、志の高い仕組みのことを「作品」としています。

我々は当然上場会社ですので、本業をしっかりがんばることが必要なわけですが、本業をがんばり収益を上げることが、社会貢献を組み込んでいるわけですので、結果的に社会貢献につながっていきます。また、社会貢献することで、結果的に本業も後押しされるような、相互に支え合う関係で事業を発展させていくことを、この理念の中で考えています。詳細については後ほどご説明します。

成長に向けた戦略-環福連携モデルの実現

成長に向けた戦略の中で、我々が最も重点を置いて取り組んでいきたいと思っているのが、環福連携モデルの実現です。リサイクル事業が環境、ソーシャルケア事業が福祉であり、これらが融合したモデルを、我々は今後の成長ドライバーとして考えています。

もともと障がい福祉に取り組んだきっかけというのは、小型家電リサイクル事業におけるパソコンの分解工程において、知的障がいのある方の仕事として、分解作業が非常に向いているということがあり、そのような就労への取り組みがスタートしました。

これを進化させるかたちで就労機会の提供に加えて、障がいのある方のお住まい、すなわちグループホームの展開という2つのことへ取り組みを進化させることにより、我々としても小型家電リサイクルの中にある取り組みというだけでなく、新たにソーシャルケア事業ということで事業部として独立させました。今後は、ここに環福連携のシナジーを効かせていくかたちで成長していきたいと思っています。

環福連携モデルにより、1つ目に、先ほどご説明した経営理念の実現として、我々にとって収益と社会性の両立という作品の代表作になるのだという思いで、私のライフワークとして取り組んでいきたいと思っています。そして2つ目に、単なる社会貢献だけではなく、我々の成長のドライバーになっていくということです。

環福連携モデルの戦略

環福連携モデルで我々が解決していきたい社会課題は、やはり知的・精神に障がいのある方へお仕事と住まいを提供していくということですが、特に今は、80代の親御さんが50代のお子さんの生活を支えるという「8050問題」などが言われています。

スライド右側にイラストが描かれていますが、お子さんが40代から50代、親御さんが70代から80代ということで、「8050問題」あるいは「7040問題」という言われ方をされています。

左側にも記載がありますが、現在の日本で身体障がいのある方は436万人、知的障がいのある方は108万人、精神障がいのある方は392万人いらっしゃるとされています。特に、知的障がいのある方で在宅の方が96万人、精神障がいのある方で在宅の方が361万人ということで、合計で457万人の知的・精神障がいのある方が在宅でいらっしゃるとされています。

誰もが年を取るため、親御さんもサポートできない年齢になってくるという問題がかなり切実になっています。このような障がいのある方へグループホームを提供していくことを考えています。

事業戦略

社会課題を解決することで、我々はもちろんこの事業を成長させていきたいと考えています。環福連携モデルを融合したビジネスモデルにより、1つはリサイクル事業自体の規模がさらに拡大していく、そのような成長のチャンスがあるということです。また、環福連携モデルを行うことで、ソーシャルケア事業自体のビジネスチャンス、規模が拡大する機会があると考えています。

リサイクル事業の今後のビジネスチャンスとして我々が具体的に考えているのは、GIGAスクールです。すべての小中学校にパソコンが配置をされたというのはみなさまもご存じのとおりだと思います。

GIGAスクールのパソコンは全国で750万台あり、2025年頃がパソコンの入替のピークになると言われており、処分需要が出てきます。我々は新品のパソコンを納めるのではなく、その後の処分、つまりリサイクルのシェアを取っていきたいと思っています。

ソーシャルケア事業は現在直営で8拠点を展開していますが、この業界では小さな事業者の参入が非常に多くありました。今後、この事業では業界再編の流れが起きると思っているため、積極的にM&Aを展開することで、規模の拡大を図っていきたいと考えています。

さらに、グループホームも単独の事業として展開するだけではなく、お仕事とお住まいを両方提供するといった、融合した動きへ進化させていきたいと考えています。現在我々は8拠点を展開していますが、2年から3年の間に1,000拠点へ展開していきたいと思っています。

その意味では、環福連携モデルは今のリサイクル事業の規模よりはるかに大きなビジネスチャンスと捉え、またソーシャルケア事業は我々が直営で行っている拠点から、1,000拠点というレベルで成長させていきたいと考えています。

これらを各事業単独で行うのではなく、環福連携で事業シナジーを発揮させることでこの大きな2つの成長につなげていくということが、我々の考えている一番の成長戦略になります。

経営理念の実現

経営理念の話に戻りますが、先ほど本業に励んで収益を上げることが社会貢献につながり、また社会貢献に取り組むことで結果的に本業も後押しされ、相互に支え合う関係で事業を発展させていくというお話をしました。

人間でも適材適所というように、例えば営業で非常に成績を上げた人を経理に回しても、同じようなパフォーマンスができるかというと、おそらくそうではありません。反対に、経理で非常に優秀でも営業に回したら同じだけ成績を出すのかというと、出す人もいるとは思いますが、またタイプが異なります。

このように、人間でも適材適所、力を発揮できる場がそれぞれあるのだと思っていますが、会社も人と一緒です。会社のカラー、社風、価値観、それから強み、このようなところも、やはり会社のキャラクターや強みに合った土壌で励んでこそ、本当の成果につながると考えています。

そのような意味では、我々はレッドオーシャンと呼ばれるような、多くの企業が参入して激しいシェア競争でバトルが繰り広げられるような市場は、あまり得意ではありません。このような競争が激しい場において、競争に打ち勝つことを全面に出していくことが向いた企業さまというのもたくさんいらっしゃいますが、我々は収益と社会性の両立を掲げているということもあり、どちらかというとあまり向いていないのではないかと思います。

一方で、我々はリサイクル事業で全国600以上の自治体と提携をしています。スライド右下にも提携する自治体のマークが並んでいるとおりです。このような公的な領域、特にGIGAスクールは小中学校や教育委員会、さらに自治体のようなところへ、収益と社会性の両立といった我々の経営理念は、このような領域において大輪の花を咲かせるのではないかと思っています。我々の会社のよいところ、強みが活きる土壌の上で、しっかりと大輪の花を咲かせていきたいと思っています。

先ほどお話しした環福連携のGIGAスクールの750万台や、ソーシャルケアの1,000拠点といったところで、我々の経営理念や会社のスタンスがしっかり活き、必ずビジネスチャンスに繋がっていくと確信しています。これ以上先のコメントは控えますが、私の表情からそのあたりを感じ取っていただければと思います。

4つの事業領域とM&A戦略

M&A戦略についてもしっかり取り組んでいきたいと思っています。我々は、リユース事業、リサイクル事業、ソーシャルケア事業、海外HR事業の4つの事業の柱で成長していきたいと思っています。それぞれの事業で「自社リソースによるオーガニックな成長」とありますが、自社による自力の成長を行うことを指しています。

我々は創業から、新規事業に取り組むときも、基本的には自分たちで事業を立ち上げてきましたが、4つの事業においても、引き続きしっかりと自力でがんばって事業を伸ばしていきます。それに加えて、それぞれの事業ごとにM&Aを戦略として組み込んでいきたいと思っています。

リユース事業においては「NETOFF」の会員規模が約400万人で、日本のeコマース市場の中でも有数の会員規模を誇っています。400万人規模の会員を活かしたリユース事業や、さらにリユースだけではなく、もしかするとeコマース全般も事業領域を広げていくこともあるのではないかと思っています。また、リユース事業のM&Aによる成長も考えていきたいと思っています。

リサイクル事業のオーガニック成長と、今お伝えしたM&Aの成長ですが、我々はこのあたりの処理プラントは持っていません。もしかすると、リサイクルの処理プラントを持つなど、また750万台のパソコン回収が大規模になってくれば、我々だけの処理能力では足りなくなるため、M&Aにより同業他社の処理能力を確保していくことも行っていきたいと思っています。

ソーシャルケア事業も、お伝えしたようにM&Aにより業界再編を手掛けていきたいと思います。また、障害福祉分野もグループホームだけではなく、例えば訪問看護や日中支援、その付随する事業が周辺にもたくさんあるため、このようなところもM&Aを行いながら成長していけるよう、取り組んでいきたいと思っています。

海外HR事業も、現在カンボジアを中心に展開していますが、近々インドネシアにも進出したいということで準備しています。このあたりもよいパートナーがいれば、M&Aも行いながら立ち上げのスピードを上げていきたいと思っていますが、いずれにしてもこれまでの自力成長の上で、M&Aの成長をしっかりと組み込んでいこうと思っています。

そのためにはM&Aを担当する専任の担当者をしっかり置いて、また、このような情報は名古屋にも届きますが、東京に情報が集中しているため、来年2月には六本木に新しく東京オフィスを移転集約します。

東京での機能、特にM&Aや、株価対策としてIRの機能を強化していきたいと思っています。このようなかたちで積極的にM&Aを行うことで、事業の拡大をスピードアップしていきたいと思っています。

ホールディングス体制

M&Aによってグループ会社が増えていくことを想定し、槍田氏が社外取締役に就任されます。あらためて主な略歴をご紹介すると、2002年に三井物産の社長に就任され2009年からは会長を務められました。2007年からは経団連の副会長も務められました。2015年には学校法人国際大学の理事長ということで、現在も務められており、2020年には東京電力の取締役会議長に就任されました。

これ以外にも非常に豊富な経営経験や、国内だけではなく海外も含めたビジネス経験、また高い見識をお持ちですので、社外取締役に入っていただくことで、我々も緊張感を持ち、会社としても次のステージに入っていけるよう、お力を貸していただきたいと思っています。あらためてですが、どうぞよろしくお願いします。

「4つの事業の柱」... 各々利益10億円以上を目指す

4つの事業の柱ですが、現在の今期の利益計画では、2023年6月期にはリユース事業とリサイクル事業の2つを合わせて、13億5,000万円の事業利益が出ています。

また、ソーシャルケア事業と海外人材送り出しについては、前期はまだ赤字事業ということでした。ソーシャルケア事業が黒字に転換し、また海外人材送り出しは新型コロナウイルスの影響もあり入国ができず非常に厳しい状況が続いていたのですが、いよいよ今期からは黒字化してくると思っています。

事業の柱というからには、今後3年程度の時間軸の中で、それぞれ10億円以上の利益を出す事業に育てていきたいと思っています。

リユース事業とリサイクル事業は現在13億5,000万円の利益額ですが、2年から3年の間で20億円レベルへ、またソーシャルケア事業や海外人材送り出し事業も、それぞれ10億円程度の経常利益へ持っていきたいと思っています。

中長期の成長イメージ

少し先の話になるのですが、2035年時点では売上1,000億円、経常利益100億円のグループ会社になっていきたいという目標で、これからさらにがんばっていきたいと思っています。

売上規模で言うと、グループとしては今期で100億円を超えるレベルになってき ました。そう考えると、今後約10年で10倍規模に会社を成長させていきたいと思っています。

そのためには、これまでのコツコツ積み上げていく経営も大事にしつつも、それだけでは1,000億円のレベルには到達しません。M&Aを含め、また社外からも経営人材も招き、100億円から10倍規模の1,000億円の企業グループになっていけるように、しっかりと体制と布陣を敷いた上でアクセルを踏んでいきたいと感じています。

IRの強化

株価向上に向けた取り組みについてご説明します。株主総会の中でもお話ししましたが、3ヶ月の四半期ごとに、40社を目標とする機関投資家とのミーティングを、あらためて強化していきたいと思っています。

特に、これからは環福連携を成長のドライバーにしていきます。その意味で我々はESGやSDGsに非常に合致した会社だと思っているため、機関投資家さまにも真のESG・SDGs企業だと、しっかりアピールしていきたいと思っています。

特に障がい者雇用に取り組んでいる上場会社で、業績をしっかり伸ばしている会社は非常にPERが高いのです。我々も環福連携モデルを実現し、何よりも業績をしっかり伸ばしていくことで、機関投資家さまからの投資も取り込んでいきたいと思っています。

また、本日ご出席いただいていますが、個人投資家さま向けの情報発信も強化していきます。定期的に既存の株主さま以外にもご参加いただけるオンライン説明会を開催していますが、今後も年2回開催していく予定です。

それ以外にも、各証券会社が個人投資家向けの説明会を行っていますが、このようなところへも積極的に参加し、リネットジャパンの現在の株主さまだけではなく、潜在的に投資いただけるような投資家さまにもアピールしていきたいと思っています。

また、IRだけではなくPRも強化していきたいと思っています。テレビ等々のメディアへの積極的な露出もしていきたいと思っています。

東京にマーケティング本部を設置しました。広報を専門で行っていた者も最近入社しており、マーケティング部門も強化しています。広報についてもしっかりと強化していき、結果的に認知度が上がれば株価にも繋がっていくと思っているため、このような広報活動へ積極的に取り組んでいきたいと思っています。

IRの強化

最後になりますが、業績還元として株主さまへの還元も対応していきたいと思っています。2023年9月期末をもって配当開始を目指したいと思っています。

すなわちこの12月ではなく、来年12月に配当ができるように、しっかりと資本準備金や利益剰余金の配分を含め財務体質を改善し、何より計画どおりの利益を上げることで、株主さまに配当をスタートできるように取り組んでいきます。

また、掲示板でも自社株買いを優先してほしいというお声をいただいていると認識しています。中期的に業績が伸びてくれば、配当に加えて、自社株買いも含め、しっかりと株主さまへの還元の方法を考えていきたいと思っています。

私からの説明は以上です。当社一丸となって取り組んでまいりますので、ぜひ引き続きご期待いただき、応援いただければと思っております。

質疑応答:リサイクル事業について

質問者:リサイクル事業の小型家電回収に関して、自治体の公認を得ている回収会社はリネットジャパン1社という認識ではあるのですが、今後小学校にあるパソコンの回収をするときに、別の業者や新規参入で回収をする会社が出てくるのでしょうか?

黒田:リサイクル事業の自治体連携に関するご質問ですが、我々は小型家電リサイクル法の許認可を受けています。許認可を受けている事業者を認定事業者というのですが、法律上では自治体が回収することを基本としており、自治体の回収をサポートする役割として、小型家電のリサイクルの認定事業者がいるという位置づけになっています。

特に認定事業者は、我々以外はほとんど中間処理を行なう会社です。そのような意味では、自治体が集めたものを適正に処理するといったかたちで連携している認定事業者は、それぞれの地場にたくさんいます。

一方で、我々は処理のプラントは持っておらず、どちらかというと回収を中心に行っています。宅配便の回収自体を我々が独占しているわけではないのですが、参入している会社は今のところ当社のみです。現在は600を超える自治体にまで広がってきています。

今後のGIGAスクール等々については、当社が独占する権利・権限を持っているわけではありません。おそらく入札になると思います。ただし、入札の要件である小型家電リサイクル法に則った処理実績は、我々が圧倒的に持っています。また、すでに自治体とも連携しているため、入札があった場合に我々が勝てる可能性は十分高いと考えています。

入札においても我々の実績や構想をご理解いただける自治体は多いと考えています。今後は需要が顕在化していく中で、我々はそのような支持をしっかり取っていきたいと考えています。

質疑応答:ソーシャルケア事業について

質問者:先ほど、ソーシャルケア事業では約3年で10億円の利益を達成したいというお話がありましたが、ソーシャルケア事業で1,000拠点を目指すというお話についても、その約3年の期間で目指すということでしょうか?

黒田:ソーシャルケア事業で、1,000拠点を3年以内に実現したいと考えています。それが1年で達成できるか、2年になるのかといった回答は控えさせていただきますが、3年以内には実現したいと思っています。

質疑応答:マーケティング費用の内訳について

質問者:今回のお話にはありませんでしたが、決算説明会の資料でマーケティング費用が大きいと感じました。マーケティング費用の内訳について教えてください。

おそらくテレビCMなどではないかと思いますが、今後も続けていく予定なのでしょうか? あるいはどこかの時点で、マーケティング費用は減っていくことになるのでしょうか?

黒田:おっしゃるとおり、テレビCMなどで、特に小型家電リサイクル事業でのマーケティング投資を強化しています。

大型家電やパソコンのリサイクルサービスは、お客さまから見れば数年に1回利用するサービスで、日常的にリピートして使うものではありません。大掃除をきっかけに古いパソコンを出すなど、数年に1回の利用シーンになるため、我々が何か告知したことで、「すぐにリサイクルして片付けよう」といったことはならないわけです。

「パソコンを処分しよう」と思った時に、頭にパッと「リネットがあのCMをやっていたよね」と思い起こしてもらうような、マインドシェアと言いますか、お客さまの頭の中に「パソコンのリサイクルといえばリネットだよね」と思っていただくことが一番大事だと考えています。

12月20日からテレビCMが始まっています。東京エリアでは、大掃除シーズンから1月まで放映しています。今は関東圏が中心ですが、そのようなところでも認知の指標が着実に上がってきており、我々がテレビCMを放映したことで、具体的に申し込み数も増えています。

加えて、認知度がどのくらい上がっているかの指標も取っています。テレビCMを放映するたびに認知度が着実に上がっているため、将来的には、それが我々のリサイクルの申し込みにつながると考えています。

先行投資にはなりますが、テレビCMを中心にマーケティング投資を強化していく状況です。テレビCMを止めればもう少し利益は出ますが、後にしっかりと成長していくための必要投資だと考えています。

質疑応答:マーケティング費用のコントロールについて

質問者:マーケティング費用は、基本的に広告のかたちでしょうか? 通常であれば「広告」費用と書くところを、決算補足資料などでは「マーケティング」費用と書かれていたため、気になりました。

また、売上に占めるマーケティング費用の割合が毎年増えており、来年は20パーセント程度の売上を使っていくのではないかと懸念しています。

他の企業では「いや、成長にはこれだけ必要なんだ」「今は勝負だから」ということで、赤字にしてまでも広告を出すと話もあるような気がしますが、費用はどのようにコントロールされているのでしょうか? 例えば、「今年は30パーセントくらい投資する予定ですので、ご期待ください」など、どのようにされるのか教えてください。

黒田:先ほどの話とも重なるところがありますが、基本的には広告で、広告の観点は2つあります。1つは申し込みを獲得していくための広告で、それがメインになっています。もう1つは先行投資になりますが、認知度を上げていくための広告です。

1つ目の、申し込みを獲得していくための広告については、我々は1件あたりの獲得コストをCPAと呼んでいますが、CPAおよびKPIの管理を厳格にしています。要は、1件あたりの申し込みで得られる粗利とCPAの関係が合っていないと、完全に破綻するものになります。

我々は1件あたりの獲得CPAが、それによって得られる粗利よりも十分にあります。このKPI管理をもとに、申し込みを獲得しているということです。当然、獲得件数が増えれば増えるほど絶対額が増えていく構造になっているため、そのような獲得の部分をCPAでしっかりと管理しています。

一方で、認知度はテレビCMですが、獲得コストだけで見れば、1件あたりの獲得コストは非常に高いです。しかしそれ以上に、認知度が将来的な我々のお客さまにつながると考えています。

こちらは認知度をKPIとしています。ただし、それが過大な投資にならないように、また大掃除のシーズンや夏休みのお盆の時期に部屋の片付けをすることが多いため、その時期に年2回から3回、定期的にテレビCMを入れていこうと考えています。

我々は、日本中で「パソコン処分するといえば、リネットだよね」と、だれもが認知できるようになればよいと考えています。予算やKPIの管理をしっかり行いながら、そのような投資を回していこうという状況です。

質疑応答:機関投資家に関する活動について

質問者:先ほどの機関投資家へ向けた活動について、「今年はバンバン回って、ガンガン宣言するぞ」という意気込みを感じました。来年の総会では、そのようなことがないようにしてもらえればと思っています。しかし、去年もゼロではなく、ある程度は回っていたと思います。

藪から棒に「今年こそ」ということはないと思いますが、機関投資家が、ある意味そっぽを向いているのはなぜなのでしょうか? 人気がない理由をシェアいただけると、「そうか」という納得される方もいると思いますので、よろしくお願いします。

黒田:機関投資家に関する活動は大変微妙な話で、コロナ禍の状況でなかなか訪問できないこともあり、あまり活発に活動ができていなかったのが正直なところです。

一番の要因は、海外のカンボジアを含めた事業の立て直しです。このようなところに、私だけではなくCFOもかなりの時間を取られていました。CFOは特にカンボジア対応に手を取られてしまっていましたが、カンボジアの金融事業もおおよそ目処が立ったということです。

私もCFOも、今後はIRに力をいれていこうと考えています。これまでは個人投資家さま中心で、ほぼ機関投資家さまへの活動はできてなかったため、あらためてしっかりと臨んでいきたいと思います。

質疑応答:ソーシャルケア事業における目標達成の過程について

質問者:先ほど、ソーシャルケア事業がここ3年で注目されてきているというお話がありました。ソーシャルケア事業はなかなか儲からないイメージがあるのですが、3年で10億円を目指すというのは、どのようなかたちを取っていくのか教えてください。

黒田:ソーシャルケア事業のグループホームは、国の報酬で運営をしていく決まりがあります。そのため、ご指摘のとおり利益はそれほど多くありません。

小規模で取り組むと利益が出づらいのですが、ドミナントで、グループホームは入居者30人につきサービス管理責任者を1人設置しなければならない制度になっています。そのため、サービス管理責任者1人につき、ドミナントで4棟から5棟を展開し、1人で30人をカバーすることができれば、しっかりと利益を出せると考えています。

そちらに就労継続支援B型事業所でのリサイクル事業などを合わせることで、入居者30人のうち、約20人が就労継続支援B型事業所に入ると、営業利益利率でしっかりと利益が出るとシミュレーションしています。

この事業自体は、入居者がしっかり入れば、収益計画にほとんど無理がなく利益が出せると思います。利益が出るブロックを積み上げていくことで、利益はストック型収益として出るものと考えています。新展開もあるかもしれませんが、直営を含め加速していきたいと考えています。

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