年金の支給額が気になるという方は多いと思います。
老後の備えを考えたとき、「年金額は少しでもあげておきたい」と考えますよね。
2022年12月26日に厚生労働省より公表された「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金(老齢基礎年金)の月平均は5万6368円、厚生年金(国民年金含む)の月平均は14万3965円でした。
年金支給額をあげる方法はいくつかありますが、最も手っ取り早いのは「繰下げ受給制度」を利用することと言われています。
繰下げ受給を紹介する報道はたくさん目にしますが、「月単位でできる」という点はあまり紹介されていないように見受けられます。
そこで今回は、繰下げ受給をした場合の「月単位の増額率」をご紹介します。
繰下げ受給の注意点も知っておきましょう。
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1. 年金支給額を上げる「繰下げ受給」とは
厚生年金や国民年金といった公的年金は、基本的に65歳から受給開始となります。
しかし、65歳よりも後に受給開始年齢を遅らせることで、受給額を増やすことができます。これを年金の繰下げ受給といいます。
1.1 繰下げ受給したときの増額率【早見表】
繰下げ受給をする場合、1ヵ月受給を遅らせるごとに0.7%増額されます。 年齢と月ごとの早見表は次のとおりです。
1.2 66歳の増額率(1ヶ月ごと)
- 66歳0ヵ月:8.4%
- 66歳1ヵ月:9.1%
- 66歳2ヵ月:9.8%
- 66歳3ヵ月:10.5%
- 66歳4ヵ月:11.2%
- 66歳5ヵ月:11.9%
- 66歳6ヵ月:12.6%
- 66歳7ヵ月:13.3%
- 66歳8ヵ月:14.0%
- 66歳9ヵ月:14.7%
- 66歳10ヵ月:15.4%
- 66歳11ヵ月:16.1%
66歳に受け取ったとしても、最大で16.1%の増額になります。さらに75歳まで繰り下げれば、84%の増額。
もし年金支給額が月額15万円の場合、27万6000円に増える計算です。
しかし、ここで「75歳まで受給をずらすと、その分回収できるのか?」という疑問がわいてくるかもしれません。
せっかく増額しても、受給期間が短ければトータルでは損をするという考え方もできます。そこで次では、損益分岐点のシミュレーションをしてみましょう。
2. 年金の「繰下げ受給」、損益分岐点をシミュレーション
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は約14万円でした。
ここから年金月額を14万円と仮定して、ざっくり試算してみましょう。(1万円未満の端数切り捨て)
2.1 本来の65歳から年金を受け取る場合
- 70歳時点:840万円
- 75歳時点:1680万円
- 80歳時点:2520万円
- 85歳時点:3369万円
- 90歳時点:4200万円
- 95歳時点:5040万円
- 100歳時点:5880万円
2.2 70歳から年金を受け散る場合
- 70歳時点:0円
- 75歳時点:1192万円
- 80歳時点:2385万円
- 85歳時点:3578万円
- 90歳時点:4771万円
- 95歳時点:5964万円
- 100歳時点:7156万円
2.3 75歳から年金を受け取る場合
- 70歳時点:0円
- 75歳時点:0円
- 80歳時点:1545万円
- 85歳時点:3091万円
- 90歳時点:4636万円
- 95歳時点:6182万円
- 100歳時点:7728万円
上記の単純なシミュレーションにおいては、80歳時点までは65歳受給がお得、85歳時点からは70歳受給がお得、95歳時点では75歳受給がお得という結果になりました。
当然ながら、何歳まで生きるのかは個人によって異なります。計算上は上記のとおりですが、寿命は誰にもわからない以上、最後は自分で判断することになるでしょう。
75歳までとは言わず、月単位でも繰下げ受給を選択できる点を認識して、柔軟に考えておきたいですね。
3. 年金の「繰下げ受給」の注意点とは
「長生きできなければ損をする」と言われる繰下げ受給ですが、これ以外にも知っておくべき注意点があります。
ここでは主なデメリットを3つご紹介します。
3.1 税金や保険料が上昇し手取りは増えないこともある
年金からは税金や保険料が引かれます。つまり、年金額があがれば引かれるお金も増えるということ。これにより、「額面が増えたのに手取りはあまり増えなかった」ということもよくあります。
介護保険や医療費の一部負担割合が増えることにも注意が必要です。
3.2 年金受取までの収入はどうする?
年金の受給を遅らせる場合、その間の収入をどうするのかが問題となります。
働ける場合は収入源を確保できますが、健康や家族の介護問題もあります。もし働くことが難しくなった場合、十分な貯蓄や不労所得などがあれば問題ありませんが、こうしたケースも考えておきましょう。
3.3 加給年金が受け取れない
加給年金とは年金の扶養手当にあたるもので、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に上乗せされる年金のことです。
繰下げ受給を選択すると、これらの加給年金が受け取れなくなることに十分注意しましょう。
4. 繰下げ受給のまとめ
繰下げ受給は、年金額を手っ取り早くアップさせるのにとても有効です。最大75歳まで繰り下げれば84%も増額できる点が強調されがちですが、月単位でも繰下げ受給をすることは可能です。
また、国民年金か厚生年金のどちらか一方だけを繰下げ受給したり、夫婦の片方だけが繰下げ受給することも可能です。
一か百ではなく、こうした選択肢も考慮した上で、我が家に合う方法を考えてみましょう。
また、老後に向けては年金アップだけでなく貯蓄アップも重要になります。物価上昇などで家計が疲弊することがないよう、老後に向けてコツコツ貯蓄の準備を始めていきたいですね。



