前もって申し上げなければいけないのだが、これから始まるお話は広くクルマ好きを自認する方々におかれても、刺さりにくいネタかもしれない…。それを意識してまでも、わかる人にはわかってもらいたい!という共感を求めて彷徨う筆者の内なるココロの渇きが、一般的なわかりやすいお話に収めることはできなかったことをご容赦いただきたい。
週末の朝はホームセンターから
「内径6㎜、外径は10㎜以下で耐圧性は必須だな。耐候性もしくは耐熱性はある程度あればよし…もちろん安上がりで。さて、そんな細いホース、どこにあるかな…」
待ちに待った週末を控えた金曜夜、湯船に浸かりながらさっきからそのことばっかり考えている。今日に至るまで毎晩、帰宅してからの時間を情報収集にすべて費やし、ベッドの中で眠りの国に招かれるまでの間、アタマの中のエンジンルームでは最も効率的な作業手順も完成していた。
ネット通販で購入したメインパーツはすでに届いている。あとは細くて強いホースさえあれば、念願の「ブーストメーター取り付け」ができる。翌日、土曜日朝8時半。行きつけのホームセンターの園芸コーナーに、それはあった。
家庭菜園用の散水用耐圧「細」ホース。まさに期待する要件をすべて満たしていたのである。
特に決まっている予定がなければ、土曜日は私とわんこだけなので、自由気ままに好きなことに丸々1日没頭できる。わが女房は日曜・月曜休みが基本なので、土曜日は休みがずれるのだ。
今でこそ社会人になった息子も私と同じ土日休みとなったが、それまでは私以外の家族は普段通りに朝から出かける準備に忙しく、つられて私も規則正しく動き出すので、朝8時にはすでに準備万端!なのであった。
そんな休みの朝から早起きの私にとって、自宅に一番近いホームセンターは早朝6時半から開店し、現場へ向かう職人さんたちの突発的資材&部材の購入にも十分応えてくれるだけの体制を整えているため非常に心強い。
仮にそこでお目当てのものを見つけ出せなかったとしても、クルマを15分ほど走らせれば、ご近所のお気に入りホームセンターの品揃えをさらに圧倒的に上回る「魅惑のプロ御用達専門店」が、私の来訪をいつでも待っていてくれるのである。
この2店さえあれば、私の大好きなクルマいじりに使う素材、部材、部品の類はほぼ間違いなく調達することができる。
クルマいじりの「お宝」とは?
クルマいじりのためなのに、実は私が見つけてくる素材、部材、部品のほぼすべては、「クルマ用品コーナー」には並んでいない。あるものは水道用品、またあるものはエアコン工事部品、あるいは電気工事部品、もしくは内装工事用、はたまた園芸用品店。ありとあらゆるコーナーで、これらの「お宝」を見つけることができるのである。
ここで最もカギとなるポイントは、ズバリ「創造力」にあると断言できる。お目当てのものがなかったとしても、悲嘆にくれてはいけない。多種多様な部材、部品を揃えている店舗の中で、心を落ち着けて考える。「どんなものが代用できるか?」 そして、答えは必ず見つかるのである。
ホームセンターを活用すれば、コストだって大幅に抑えることができる。たとえば、エンジンのパワーアップのために吸排気の効率を高めることは、”クルマいじりたい症候群”の人にとってはお約束のドレスアップなのであるが、吸気も排気もそれぞれアフターマーケットの専用パーツに交換することで愛機の走りがさらに力強くなったことを実感できる。
当然私もこの定石を踏んだのであるが、これでは満足せず、次にアタマの中に描いたのは、さらなる吸気効率の向上であった。そのためには、空気の取り込み口の場所を車体前面の走行風が直接当たる場所に移動させて、半ば強制的にフレッシュエアーを押し込むようにして取り込む「吸気口」の造作が必要であった。
この吸気口の移設効果が高いことは、事前の情報収集からわかっていた。しかしながら、ネット検索をかけると出てくる後付け専用パーツは、どれもこれも数万円もの強気の値付けをしており、即断でポチッと商品画面の購入ボタンを押すわけにはいかない。さすがにこれは高すぎる。でも欲しい。さあどうしよう…。
そこで、この後付けパーツと同じ役割を果たす部品を自作しようと決めたのだった。
今回の造作物の構造はいたって簡単で、要はクルマのエアクリーナーからフロントグリルの裏までをつなぐパイプを作ればいいのである。そんな私の期待を十分に満たす部材は、魅惑の宝箱であるホームセンターを訪れて間もなく、比較的簡単に見つけ出せることができた。
場所はエアコン工事用コーナー。手にしたのは室内機から出た配管を屋外に設置された室外機に導くまでの間をカバーする、角形ジャバラであった。これならば取り回しも楽だし、加えて屋外で風雨に耐えうる素材ゆえに耐久性も期待できる。
さらに外装外壁工事コーナーで見つけた「雨どいの連結用部品」を使うことで、なんだか見た目もそれっぽい、立派な「エアインダクターホース」ができ上がった。
数万円かかるところを、千円ちょっとで満足できるパーツが仕上がった。誰も褒めてはくれないけれど、次なる創作への意欲をかきたてる強い動機付けになったことは言うまでもない。
鈴木 琢也