2019年8月に厚生労働省がおこなった財政検証では、今後の年金制度の見通しについて6通りのシナリオが描かれています。

これは経済成長と労働参加について過去の実績を基礎としつつ、日本の潜在的な成長率等をふまえた設定です。

いまの年金額ももちろんですが、自分たちが老後をむかえる頃の年金水準はどうなっているのか気がかりな人も多いのではないでしょうか。

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厚生年金と国民年金の水準はどう変わる

検証が行われた2019年度の前提では、現役男子の平均手取りが35.7万円。
夫婦2人の基礎年金13万円+夫の厚生年金9万円(合計22万円)で所得代替率が61.7%となっています。

所得代替率は、夫婦2人の基礎年金と夫の厚生年金をあわせた年金水準が現役世代の手取り月収にたいしてどのくらいの割合かを示した数値です。

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出所:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

出所:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

そして、今回の検証では所得代替率が以下のように低下する可能性が示唆されています。

◆経済成長と労働参加が進むケース

  • Ⅰ 2046年度に51.9%
  • Ⅱ 2046年度に51.6%
  • Ⅲ 2047年度に50.8%

◆経済成長と労働参加が一定程度進むケース

  • Ⅳ 2044年度に50.0%(財政のバランスが取れるまで機械的に調整を進めた場合46.5%)
  • Ⅴ 2043年度に50.0%(財政のバランスが取れるまで機械的に調整を進めた場合44.5%)

◆経済成長と労働参加が進まないケース

  • Ⅵ 2043年度に50.0%

※機械的に調整を続け2052年に国民年金の財源が枯渇した場合、その時点の現役世代から徴収する保険料と国庫負担で賄えるのは38~36%程度

つまり一番好ましい設定でも所得代替率は61.7%から51.9%に低下。

経済成長が横ばいとなった場合は36%程度まで落ち込む可能性があり、現役男子の平均手取り35.7万円を基準にすると夫婦2人の年金をあわせても月12.8万円という計算に。

年金制度の抜本的な見直しは現役世代の切実な願いだといえるでしょう。

国民年金と厚生年金「60~90歳以上」が受け取っている金額はいくらか

ここまで財政検証をもとにお話してきましたが、年金の受給額はひとりひとり異なります。

年金は、厚生年金と国民年金の2階建てが基本です。

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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

一旦、いまの公的年金の平均受給額に目を通しておきましょう。

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から1歳刻みの金額をみていきます。

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厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

国民年金

  • 60歳:3万9019円
  • 61歳:4万594円
  • 62歳:4万1689円
  • 63歳:4万2881円
  • 64歳:4万3513円
  • 65歳:5万7919円
  • 66歳:5万7737円
  • 67歳:5万7569円
  • 68歳:5万7272円
  • 69歳:5万7169円
  • 70歳:5万7234円
  • 71歳:5万7153円
  • 72歳:5万7066円
  • 73歳:5万6874円
  • 74歳:5万6675円
  • 75歳:5万6235円
  • 76歳:5万6204円
  • 77歳:5万5881円
  • 78歳:5万5651円
  • 79歳:5万5525円
  • 80歳:5万7241円
  • 81歳:5万7024円
  • 82歳:5万6866円
  • 83歳:5万6876円
  • 84歳:5万6464円
  • 85歳:5万6321円
  • 86歳:5万6067円
  • 87歳:5万5643円
  • 88歳:5万5132円
  • 89歳:5万4498円
  • 90歳以上:5万554円

国民年金の受給額はおおむね5万円台で、受給水準にはほとんど差がないことがわかります。

例外として65歳未満の受給額が他の年齢にくらべて少なくなっていますが、これは「繰上げ支給」を選択した人です。
原則の65歳より前に年金を受け取れる代わりに、ひと月あたりの年金額は減額されます。

厚生年金

  • 60歳:9万0838円
  • 61歳:5万9575円
  • 62歳:6万0436円
  • 63歳:7万8770円
  • 64歳:8万636円
  • 65歳:14万5337円
  • 66歳:14万5703円
  • 67歳:14万3386円
  • 68歳:14万1979円
  • 69歳:14万36円
  • 70歳:14万3775円
  • 71歳:14万7105円
  • 72歳:14万6331円
  • 73歳:14万5724円
  • 74歳:14万5467円
  • 75歳:14万7519円
  • 76歳:14万8172円
  • 77歳:14万9924円
  • 78歳:15万2159円
  • 79歳:15万4467円
  • 80歳:15万7097円
  • 81歳:15万8604円
  • 82歳:16万356円
  • 83歳:16万851円
  • 84歳:16万1719円
  • 85歳:16万2711円
  • 86歳:16万2887円
  • 87歳:16万1929円
  • 88歳:16万2660円
  • 89歳:16万3514円
  • 90歳以上:16万1506円

厚生年金でも60代前半はその他の年齢にくらべ受給額が下がっていることがわかります。

これは65歳未満の受給権者は「特別支給の老齢厚生年金の定額部分」の支給開始年齢の引上げられた影響で、主に定額部分のない報酬比例部分のみの金額となっているからです。

なお、特別支給の老齢厚生年金の対象となるのは男性の場合昭和36年4月1までに、女性は昭和41年4月1日までに生まれた方です。

それ以外の方は、原則の65歳以降を参考にしていただくと良いかと思います。

厚生年金や国民年金がもしも、いまより減ってしまったら

未来のことは断定できませんが、将来受け取る年金額がいまより大幅に減ってしまう可能性は捨てきれません。

公的保障の支え手を増やすためには少子化からの脱却が求められますが、社会保険料等の負担が大きいことで結婚や子育てに消極的な若者も増加しています。

年金制度や医療費の自己負担等における社会保障水準は「いまより低下する前提」で備えておくのが現実的でしょう。

参考資料

尾崎 絵実