2022年11月26日に発表された、株式会社さくらさくプラス個人投資家向け説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社さくらさくプラス 代表取締役社長 西尾義隆 氏
会社概要
西尾義隆氏(以下、西尾):みなさま、こんにちは。株式会社さくらさくプラス代表の西尾と申します。当社は2020年に東証マザーズ市場へ上場して、事業拡大中の企業です。
まず、会社概要からご説明します。当社は保育所を運営する会社で、保育所を中心とした事業の展開からスタートしています。東京に本社があり、計86施設の保育所を運営している事業会社です。保育所の運営に付随して子ども・子育て支援事業にも拡大しており、事業の拡張を図っています。
会社沿革
沿革についてご案内します。2009年に会社を設立し、事業をスタートしました。当初は完全に保育所を運営する会社であり、認可外保育施設で子どもたちを預かり、つまり集客し、事業を行ってきました。
会社を作る経緯としては、起業のきっかけは2008年のリーマンショックに遡ります。私自身、2008年まで不動産事業に携わる会社員でしたが、リーマンショックを機に勤めていた会社の業績が非常に悪くなりました。
「どのように生計を立てていこう」と考え始めていた際、当時私はマンション開発や商業開発などの企画事業に携わっていたことから、「今後、保育所をもっと作っていかないといけないのでは」と気付くようになりました。周りの職員にも、女性の活躍が非常に目立っていたタイミングでもありました。
保育所が足りない中で、子育て・保育事業が社会の役に立っていくだろうという思いから、保育所の事業をスタートしました。2009年に起業後、2010年からは東京に進出し、園を増やしてきたという沿革です。
保育所の設置にあたっては、運営のオペレーションをしっかりと築き上げること、立地の選定のノウハウの蓄積、この両方を意識しながら事業を拡大してきました。その結果、現在は宅建事業者の会社も持ちながら、保育の事業を大きく展開し、拡大してきています。
現在は子ども・子育て支援に向けて、保育所だけにとどまらず、さまざまな事業の開発・展開を進めている状況です。こちらに関連する会社については、のちほど詳細をご案内します。
グループ概要(事業展開)
グループの概要です。スライドの表に全体像を示しています。さくらさくプラスという会社は持株会社で、ホールディングスの組織形態となっています。中央の保育サービスというカテゴリにあるさくらさくみらいが、保育所の事業会社です。社名と同じ「さくらさくみらい」という商号で保育所を展開しています。
ベトナムにも保育所を運営する会社があります。そちらはコロナ禍によっていったん事業は休止していますが、国内外を問わず、我々はこの保育サービス事業にドライブをかけてきました。
今は保育サービス事業だけでなく、進学塾運営の分野で会社を買収して展開してきてもいます。また、我々の保育所から得られる子ども・子育てに関するさまざまな情報を活用して、システムやアプリケーションの開発などを進めているほか、食育サービス事業では「子どもに対してよいものを食べさせていこう」「子育てを気軽にしていこう」という主旨のサービスなどもスタートしています。
スライド最下段のブルーの枠に、不動産役務というカテゴリを示しています。中段のすべての事業は、私たちが非常に得意としている、この不動産開発事業が基盤となっています。不動産の仲介・管理業務を担うさくらさくパワーズや、持分法適用関連会社のあかるいみらいアセットを通じて、不動産役務の事業も運営しています。
当社は保育所を運営している会社ですが、同時に不動産にも強く、そこから子ども・子育て支援の事業を拡張している企業だとイメージしてください。
業績推移
業績推移についてご説明します。売上高に関しては開業以来、順調に伸びています。2022年7月期通期に関しては、売上高119億9,200万円となっており、このような水準まで急成長してきたところです。
昨年までは、営業利益も一気に伸びてきていたのですが、今年はコロナ禍の影響をかなり受けてしまった状況があり、この2022年7月期においては、各利益とも数字が比較的落ちています。
当社の再成長の道のり
再成長の道のりについてお話しします。スライド上段には、2022年7月期の数字が落ち込んだ理由について記載しています。
「少子化」という言葉は、みなさまも耳にされていると思いますが、コロナ禍の影響でその少子化が急に加速しています。収入が不安定になってしまうなど、この先どうなるかわからない状況から影響が出たようです。
そこから少し時間差がありますが、保育所の入所率は当初想定していた水準よりも下回ってしまったものの、職員配置は計画どおりに進めてきたため、売上原価等の発生が利益を圧迫してしまいました。物価や光熱費・水道代が上昇したことも要因となり、2022年7月期の各利益が減益となっています。
その他、今後の事業環境等を踏まえ、一部保育所等について計画どおり進まなかった部分に減損処理を実施して特別損失として計上したこと、見込んでいた不動産の売却益を特別利益に計上したことなどが影響し、少し数字がいびつなかたちで着地しました。
スライド下段の2023年7月期からの3年間の見通しについては、保育所は0歳から入ってくる方が多いのですが、下振れていたその低年齢児の入所数が戻ってきた状況で、コロナ禍前の水準までしっかりと回復しつつあります。
また、配置していた余剰人員等についても、配置を見直すことにより採用コストを大幅に削減できており、原価が収まってきています。
保育所運営以外の事業展開については、今はあらためて投資期間にあると考えており、我々としては今後も成長を進めていけると強く感じているところです。
運営施設数及び職員数・園児数の推移
我々の中核となる保育所事業における、各指標の実績推移です。運営施設数は伸び続けており、前期末は85施設となっています。園児数は4,458名、職員数は2,004名というかたちで、数字が伸びてきています。
当社の有する強み
他社との差別化を含め、当社の特長についてあらためてお話しします。まず、徹底的なドミナント戦略と保育の質が大きな特長だと考えています。
当社が選ばれる理由、言わば当社の有する強みについて、スライドに記載しています。1つ目に、当社は需要の多いとされる東京都中心部の、駅近などのエリアに特化した保育所の開設・運営を進めてきました。
東京は核家族化が進んでおり、保育所の利用率が非常に高いエリアになっています。右上のグラフをご覧いただくと、緑の棒グラフは東京都内の0歳から5歳の子どもたちの人数を示していることがわかります。ピンクの棒グラフでは、認可保育所利用者数は2022年の時点で約59万5,000人となっていることを示しています。
コロナ禍によって少子化の加速が進んだ状況にはありますが、一方で、折れ線グラフの示す保育所等利用申込率に着目すると、2022年にはその0歳から5歳の子どもがいる家庭の53.8パーセントが保育所を利用しており、この申込率は上がり続けています。
保育所も増えてきたところで、保育所等への申込率も今後しっかりと上がっていくと見ています。人口自体は多少減っていく傾向にはあると思いますが、この利用率を見れば、保育所を利用したい世帯の方々が非常に増えてきている状況を、ご理解いただけると思います。
強みの2つ目となる高い認可保育所比率については、スライド右下の「保育サービス利用児童数の状況」の表をご覧ください。認可保育所についての記載をピンクの太枠で囲んでいます。これは東京都全体の数字です。
認可保育所の利用者数だけが非常に増えていて、保育所も選ばれる園と選ばれない園が出ている状況です。国から認可された認可保育所だけが、非常に安定的に利用者が増えていることがわかります。
当社の場合、全施設数86施設に対して認可保育所が85施設と、98.8パーセントが認可保育所となっているため、今後も非常に高い利用率が見込まれると考えています。
3つ目の強みは、保育士等の負担軽減と職員の資質向上のためのサポート体制についてです。私自身の前職は不動産業で、一般企業から独立して起業しています。保育の業界から離れたところから参入しているため、当たり前になっている保育業界の業態などを違う角度で考えて、事業に取り組めているところが強みの1つだと考えています。
我々は先ほど述べた強みを活かし、非常にニーズが高く利用率の高い東京のエリアで、サポート体制の強い認可保育所を運営しています。昨今は保育士の働きすぎの問題などがよく表に出てきますが、そのような問題が起きないように、しっかりと対策に取り組んでいる会社と捉えていただければと思います。
競争優位性
スライドは、競争優位性について、我々の特徴としてハード面とソフト面という2つの切り口から表したものです。先日、保育所の利用者にアンケートを取ったところ、保育所の利用者には共働きの世帯が多く、近くに祖父母がいない家庭が多い状況でした。
少しでも時間を無駄にしたくないと、利用者の方々は使い勝手がよい東京の認可保育所を選びます。その中で一番興味深かったのは、親御さんが立地条件をよく見ているところです。
当社グループは東京の認可保育所を運営していますが、駅から徒歩10分以内の立地を実現させてきました。そこは、私の過去の経験が役に立っている部分が大きいと考えています。こちらがハード面です。
ソフト面では、「今後選ばれる保育所作り」ということで、質の高い教育アプローチや保育スタッフのサポート体制について、保護者からのアンケートで5段階で評価してもらいました。評価が4以上であれば満足している状況で、「お子さまの心身の発達に役立っていますか?」という質問に対し、4以上の回答が94.5パーセントでした。
また、「総合的にみてさくらさくみらいに満足していますか?」という質問も、91.5パーセント以上の方が「満足している」という回答でした。このことから、我々の取り組みが利用者のみなさまにも非常に高い評価を受けていることがわかると思います。
2022年7月期 東京都内保育所と東京・認可比率
現在運営している86施設のうち、東京都の認可保育所は79施設で、認可比率は91.9パーセントとなっています。そのほか、大阪府、埼玉県、千葉県にも保育所がありますが、認可比率は98.8パーセントで、非常に高いニーズがあるエリアで施設を運営していることが見て取れると思います。
東京都内の認可保育所に特化している
東京都内には保育事業を行う上場会社がいくつかありますが、東京・認可にフォーカスした当社グループは、他社と比べても都内の認可保育所の比率が非常に高いです。
スライドにはA社からH社まで棒グラフがあり、左端の当社グループは、他社と比較しても東京・認可保育所比率が高いことが見て取れると思います。
さくらさくパワーズ ~不動産の「情報力」「企画力」「開発力」 を活かす~
先ほどからお話ししているとおり、我々は不動産に強い保育事業者だと自負しています。アンケートにもあったように、79施設ある東京都の認可保育所の中で、駅から徒歩10分以内の保育所が92.3パーセントを占めています。駅から5分以内の保育所も64.5パーセントです。
非常に利便性が高く、保護者のニーズも高い施設を我々がしっかりと作ってきたところも、こちらのスライドからわかると思います。
不動産開発力事例
不動産開発力の事例です。ご存じのとおり、東京の不動産は非常に高額なエリアで、狭小地も多くなっています。その中で、「いかにしてよい保育所を作っていくか」という我々の持つさまざまなノウハウを、施設運営に活かしてきました。
スライド左上の画像に「サービスオフィス併設」とありますが、こちらは東京都の豊洲でマンション群が連なっているエリアです。そのような非常に高額な土地で、1階から4階までが保育施設、5階以上にはサービスオフィスを併設しています。このようなものも、我々のノウハウから生まれた企画だと思います。
右上には「倉庫リモデリング」とあります。こちらはかつて倉庫だったものを保育所に転用した事例です。
我々はさまざまな不動産のテクニックを使いながら事業開発、保育所開発を行い、よい場所でよい施設を作ってきました。特に、駅に近いエリア開拓を我々のノウハウとし、事業を発展させてきたことを、事例として載せています。
保育の質① 冊子(保育BOOK)
ソフト面の特長についてです。場所だけではなく、内容もクオリティが高くなければなりません。私は保育業界ではないところから参入してきたため、とにかく現場の感覚を大事にしながら、業界の方々とたくさんお話しして、マニュアル等の整備に努めてきました。従業員が約2,000名いるとお話ししましたが、この中で一定の保育サービスのクオリティを担保していく必要があります。
最近では、バスの中に園児を置き去りにした事件や、園児が欠席しているのに連絡しないなど、保育所での問題点も出てきています。我々は徹底して教育のマニュアル化を進めてきたため、大きな事故は発生していません。そのようなことが、継続して保育所を作ってきた大きなポイントであり、我々の1つの特長ではないかと考えています。
保育の質② 笑顔のサイクル
今、労働問題が非常に大きな問題となっています。これまでの保育業界では、タイムカードを押してからも残業したり、家に持ち帰って仕事をしたりすることがありました。
当社では1分単位で残業時間をつけたり、業務の効率化を図ったりしています。働く人たちが満足していく中で、保護者や利用者にも還元できるようなサイクル、仕組みを作っていきたいと考えており、こちらも我々の特長となっています。
保育の質③ 保育スタッフ一人ひとりのサポート体制
我々は「保育のホワイト企業」を目指していく取り組みを行っています。保育スタッフが従業員として安定した働き方ができるところで、職員の確保に努めていくことを当社として心がけており、具体的な取り組みをスライドに記載しています。
少子化などの課題がある中で、我々は単に施設を作っていくだけではなく、持っているノウハウをもとに、どのような事業を展開していくかというステージに入ってきていると考えています。そのようなことを踏まえ、今後の戦略等についてご説明します。
目指すビジョン
時代の変化への対応と当社の成長戦略についてです。東京都の認可保育所を中心に運営してきて、子ども・子育て支援への拡大に領域を広げつつあり、それが現在のステージになっています。
報道で見たことがあるかもしれませんが、こども家庭庁の設立を筆頭に、「子どもたちを増やしていこう」という国の動きが見え始めていると思います。我々はそちらをサポートしていきたいと考えています。
長期ビジョンイメージ
スライドのグラフに、長期ビジョンにおける現在地を示しています。事業基盤として東京都の認可保育所の運営があり、今後は東京都・認可保育所で安定した収益を確保しつつ、さまざまな事業への展開を図っていきたいと思っています。
不動産収益もありますが、保育所周辺ビジネスやM&Aで取得する進学塾の運営で、子どもたちが保育所を卒園したあとも学習の機会を提供していこうと、事業の幅を広げています。保育所の運営から得たノウハウ、不動産のノウハウをもとにさまざまな事業展開をスタートするところが、現在のステージになっています。
ビジネスモデル
現在は保育サービスが中心ですが、保育所のICT化、食育サービス、中学受験対策、不動産など、さまざまな部門で収益源を確保しながら、子育てしやすい環境を社会的に根づかせていくことを、当社のコンセプトとして拡張しています。
保育所周辺事業とのシナジー
保育所周辺事業とのシナジーについてお話しします。当社の運営施設数は86施設、保育所利用者数は4,468名です。
今後、食育サービスやシステム・アプリケーション開発運営、不動産、進学塾などさまざまな分野で、送客行為をより長く、幅広く獲得できるスタイルで収益を確保していきたいと考えています。我々はこのように、事業のテコを利かせていこうというステージにいます。
子育て支援新サービスの取り組み
当社グループに、さくらさくパワーズという宅建業の資格を持った会社があります。スライドには第一弾、第二弾と記載していますが、東京都港区西麻布、台東区浅草において子育て支援開発用地を取得し、子育てしやすい住宅を作っていこうと「東京都子育て支援住宅認定制度」を活用した建物を開発しています。
子どもが入りやすい間取りだけではなく、我々が保育所で培った入園イベントや子育て体験イベント、保育プログラムの親子体験型イベントなどのかたちで、我々が持ち得る子育てのノウハウを、住まいの方に提供していこうと不動産開発を行っています。
子育て支援新サービスの取り組み
グループ会社のみらいパレットでは、写真販売も行っています。自社でシステム開発し、利用者に情報提供し、収益を上げていく取り組みをスタートしています。
子育て支援新サービスの取り組み
子育てカフェ事業を展開しようということで、親子で楽しめるベーカリーカフェの情報をスライドに掲載しています。食育の分野にも事業展開していくことを考えています。
12月下旬に、子どもが親御さんと一緒に楽しめるベーカリーカフェの1号店をオープンします。ここから、事業を一気に拡大していきたいと考えています。
子育て支援新サービスの取り組み
子育て支援サービスの取り組みの中で、1つのポイントとなる進学塾についてです。
中学受験の人口が増えていく中、5年生、6年生が中心となっていますが、今後は1年生、2年生、3年生に勉強の楽しさを伝えたり、共働き家庭のサポートができる体制を整えるような進学塾を作っていきたいと考え、エリアおよび利用者の拡大を図っています。
子育て支援新サービスの取り組み
子育て支援新サービスの中でも、現在の保育所の充実ということで、さまざまな専門家からご協力いただき、乳幼児教育のプログラムの展開を図っています。それにより、利用者のみなさまの満足度がより向上しています。
中期経営計画について
中期経営計画についてです。昨年度の実績は、いったん利益が落ち込んだところではありますが、今後、さまざまな分野での展開が実を結んでくるタイミングだと考え、このようなかたちで3期の計画を出しています。
我々としては十分に達成の見込みがあると思っており、より良い数字が出せるように、さまざまな分野で取り組みを進め、事業展開していきたいと考えています。
グローバルキッズCOMPANYとの経営統合に関する基本合意の解約について
先日出したリリースについて、あらためてご案内します。同じ保育の事業者であるグローバルキッズCOMPANYと、経営統合する方向に舵を切ろうとしていましたが、全般の経営戦略やガバナンスの考え方など、さまざまな部分で見解の相違が発生しました。
そのため、統合はいったん契約を見送り、将来の協業の可能性も踏まえて両者間で良好な関係を維持していきながら、お互いの事業を発展させていくこととなりました。当社グループとしては、より企業の価値を高めていくために、さまざまなかたちでの戦略をいくつも考えながら、事業を発展させていきたいと思っています。
株主還元
株主還元についてご案内します。今後の発展のために大きく資金を使っていきたいところですが、グロース市場にいることもあり、まずは株主のみなさまへの還元を少しずつでも始めたく、昨年度から配当を開始しました。
営業計画において、数字上では利益が落ち込んでいますが、みなさまからの支援をもとに未来の日本を担う子どもの成長・子育ての支援を行い、みなさまへの還元を継続していきたいと考えています。
株主還元
現在の主要な株式指標は、スライドをご覧のとおりです。11月18日時点の数字ですが、当社グループとしては安定した認可保育所の事業基盤があり、今後の発展性を鑑みて、ここから上がる可能性は十二分にあると思っています。
現在の株価は、我々にとっても非常に不本意なところです。しっかりと数字を作り、株主のみなさまに喜んで応援していただけるよう、今後も努めていきたいと考えています。今は大きく日本が変革していく状況ではありますが、子どもたちの未来、日本の未来のためにも、みなさまからご声援いただければと思っています。
少し足早になりましたが、説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:コロナ禍における今後の対応について
司会者:新型コロナウイルス感染拡大の収束が見込めない中で、今後どのような対応をされるのかお聞かせください。
西尾:新型コロナウイルスは非常に波があったものの、社会全般としては少し落ち着いた傾向にあるのではと思います。感染症法の分類が2類相当から5類になるという話も出ていますし、全世界的に見ても収束傾向にあると考えています。
コロナ禍においても一時的なへこみはありましたが、利用者数にそこまで大きな影響はなく、我々としてはコロナ禍であっても、今後も保育所の利用増加を見込めると考えているところです。
質疑応答:2023年7月期の開所見通しについて
司会者:2023年7月期は、施設数の増加ペースが鈍化するように見えます。この先の施設開設ペースはどのような見通しですか?
西尾:我々は認可保育所ですので、あくまでも行政からの「このエリアにこのようなものを作ってほしい」というニーズに応えて、開設を続けてきています。2020年と2021年は12施設・10施設と開所してきましたが、コロナ禍も影響して人口が減っている状況もあるため、新しい開発や店舗展開の規模はそう大きくないと考えています。
開所目標を達成できない状況ならば、違う収益を作っていこうということで、一昨年あたりからいろいろな事業拡大をしています。それらが実を結ぶタイミングが来年・再来年には来るのではないかと考えているところです。
質疑応答:少子高齢化社会における長期的な成長戦略について
司会者:少子高齢化の中で、5年後、10年後の成長戦略について教えてください。
西尾:少子高齢化の流れは変わらないと思いますが、利用率の推移をご覧いただいたとおり、保育所を利用したい方々が、特に東京エリアで非常に多くなってきています。国としても、女性の就業に非常に期待している中で、より子育てしやすい環境を整えることを考えると、保育所の利用状況は変わらないと考えています。
まずは、ベースとして保育所を安定させることを考えながら、それに付随するビジネスの展開で5年後、10年後の拡大を図っていきたいと思います。
卒園した子どもたちを起点にしっかりと収益を上げるシステムや、現在ご利用いただいてる方からさらに売上が発生する仕組み、さらに子ども・子育て家庭に対するサービス提供などで、収益の源を増やしていきたいと考えています。
質疑応答:代表の経歴について
司会者:社長についてのご質問もたくさんいただいています。経歴を教えてください。
西尾:先ほどお話ししたように、私の経歴は不動産会社に勤めるサラリーマンからスタートしています。そのまま不動産業界にいて新しく事業展開するのではなく、社会に役に立つ事業で、かつ不動産が最大に活用できる、保育所の施設にたどり着きました。
大学を卒業してから十数年間は不動産事業に携わり、さらに今、保育の事業に携わってから同じ年数が経過しました。
質疑応答:不動産子会社の役割と保育園ファンドについて
司会者:不動産のお話が印象に残りました。不動産子会社のさくらさくパワーズの役割と、保育園ファンドについて教えてください。
西尾:本日、不動産ファンドの話は少し控えましたが、さくらさくパワーズは宅建業の免許を持った会社ですので、子育て支援住宅の開発を積極的に進めていきたいと思っています。関連会社のあかるいみらいアセットでは、今後、子育て支援開発の建物をファンド化していきます。
実は保育所もファンド化しており、現在は3号ファンドまであります。そのファンドに不動産開発の物件を入れていくような、相互にメリットのあるかたちで開発していきたいと思っています。
質疑応答:配当金の目標について
司会者:配当金は何年後が目標でしょうか?
西尾:金額的には非常に低い水準からではありますが、配当は昨年から実施しています。本年度も配当を行う予定であり、中長期的には配当性向20パーセントを目指します。
株式会社とは、株主のみなさまにご支援・ご声援をいただくことによって、事業をしっかり達成して、利益を還元していくものです。未来の子どもたちの幸せのために、日本のために、株主のみなさまには我々に期待していただき、我々が成果を出してお返しすることが目的ですので、配当については今後もしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:情報通信技術関連の事業について
司会者:情報通信技術の事業は、写真販売に限らずさらに展開していく予定でしょうか? 日本では保育園ICTがなかなか進んでいないように思いますので、期待しています。
西尾:私自身が違う業界から参入しているため、保育業界のICT化の遅れは特に体感しています。しかしその分、この業界には人にしかできない仕事がたくさんあり、取り組んでくれている現場を応援していきたいと思っています。
もっと現場が働きやすくなるために必要な取り組みですし、利用者の方々からのニーズも非常に高い状況です。そのために、我々が保有するノウハウを、保護者の方々にサービスとして提供することで、さらに子育てしやすくなったり、子育ての悩みが解決したりすると考えています。
例えば、写真の販売を行って、遠方に住むおじいちゃん、おばあちゃんにそれをプレゼントできる仕組みなど、そのようなニーズにしっかりと応えられるように、外部のシステム会社ではなく我々がシステムを作って発信していきたいと考えています。
西尾氏よりご挨拶
たくさんのご質問をいただき、お答えできていない部分もありますが、しっかりと事業を発展させて未来のためにがんばっていきたいと思っています。
今後もみなさまのご支援をいただければ非常にありがたく思います。どうぞよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。