男性より長生きする可能性が高い女性は、夫が亡くなった後の生活に不安を感じる方も多いかもしれません。

特に専業主婦の方は自身の老齢基礎年金だけで暮らすのが難しいので、遺族年金の受給要件を知っておくと心強いでしょう。

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、それぞれに受給要件があります。

遺族年金の基本的な仕組みをご紹介します。

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1. 遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給対象

家族が亡くなった後に遺族が受給する「遺族年金」には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

亡くなった人が加入していた年金により、上記のいずれか、もしくは両方の年金が給付されます。

1.1 遺族年金の支給対象

遺族基礎年金:夫が国民年金の場合受給できる。対象者は子ども(18歳になる年度末までの子どもや一定の障害がある20歳未満の子ども)のいる配偶者や子ども
遺族厚生年金:夫が厚生年金の場合受給できる。対象者は受け取れるのは配偶者や子ども、父母、孫、祖父母

1.2 遺族の条件

遺族であっても、たとえば子どもには「18歳になる年度末までの子ども」や「一定の障害がある20歳未満の子ども」等といった条件があるので注意が必要です。

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出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

妻が亡くなったときは夫も支給対象になりますが、死亡当時に55歳以上であることなどの条件があるので注意しましょう。

また、遺族年金を受け取れる方は、亡くなった方に当時生計を維持されていた人が対象で、優先順位があります。

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出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

優先順位が高い順に「子のある配偶者」「子」「子のない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」となります。

上記から、夫に先立たれた妻の優先順位は高いことがわかります。

2. 遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件

次に、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件をそれぞれみていきます。

2.1 遺族基礎年金

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出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

  • 国民年金の被保険者である間に死亡したとき※1
  • 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき※1
  • 老齢基礎年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る)が死亡したとき
  • 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方方が死亡したとき

2.2 遺族厚生年金

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出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド 令和4年度版」

  • 厚生年金の被保険者である間に死亡したとき※1
  • 厚生年金の被保険者期間に初診日※2がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき※1
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る)が死亡したとき
  • 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方方が死亡したとき

※1:保険料納付要件があります
※2:初診日の要件があります

遺族年金の支給対象となる家族であっても、保険料納付要件を満たしていないと、遺族年金が支払われません。

この機会に過去の納付状況も確認しておきましょう。ねんきんネットやねんきん定期便等で確認できます。

3. 遺族年金の年金額はいくら?

万が一夫が亡くなった場合、妻はいくらの遺族年金が受け取れるのでしょうか。

遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なるので、それぞれ確認しましょう。

3.1 遺族基礎年金

  • 子のある配偶者が受け取るとき:77万7800円+(子の加算額)
  • 子が受け取るとき:77万7800円+(2人目以降の子の加算額)

※1人目および2人目の子の加算額は各22万3800円、3人目以降は7万4600円

3.2 遺族厚生年金

亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4

この報酬比例部分は、次のように求められます。

(平均標準報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月までの加入期間の月数)+(平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間の月数)

この他、共済組合に加入歴がある場合はそれぞれから受け取れますが、個々のケースにより例外もあります。

4. モデルケースで「遺族年金」をシミュレーション

実際に夫が亡くなった場合、いくらの遺族年金が受け取れるのでしょうか。

それぞれのケースで異なるため、ここでは2022年度のモデルケースとされる夫婦の年金額でシミュレーションしてみます。

4.1 試算条件(2022年度の夫婦のモデルケース)

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額))6万4816円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)21万9593円
  • 妻は専業主婦で子どもがいないため遺族基礎年金が対象外

4.2 シミュレーション

厚生年金のモデルケースから2人分の国民年金を引くと、厚生年金のみでは約9万円です。

年間で約108万円となり、遺族厚生年金はその4分の3のため、年額でおよそ81万円となります。

妻の国民年金が月額6万4816円なので、年間で約78万円。

「妻の国民年金+夫の遺族厚生年金」を合わせると約159万円となり、月額はおよそ13万2500円です。

今回は夫が厚生年金加入者として資産しましたが、もし国民年金のみの場合、妻は自分の国民年金しか支給されません。

5. 遺族年金も含めた将来設計を

遺族年金について、支給対象者や要件を解説しました。

この他、遺族年金をもらえない第1号被保険者の妻を救済するために作られた制度として「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。

また、他に厚生年金保険の加入期間が20年以上ある夫の死亡の場合には、要件によって遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」という2つの加算があります。

こうした制度を知らないままでは、過剰な生命保険に加入してしまうこともあります。まずは公的な保障をしっかり知った上で、足りない分を民間の保険でカバーしましょう。

一方で、遺族年金は受給要件が複雑だったり、受給要件が厳しいという側面もあります。

早いうちから遺族年金について調べておき、分かりにくい場合には、最寄りの年金事務所等で相談してみましょう。

参考資料

太田 彩子