4. 老後資金を確保するには
老後になって、窮屈で不安な生活になるのは避けたいものです。そのためには、今から老後資金を確保するため、できる範囲で取り組む必要があります。具体的には、以下の2つの方法があります。
4.1 働く期間を延長して年金を繰り下げ受給する
年金の受給開始年齢を繰下げれば、老齢年金が1か月ごとに0.7%増額されます。また、受給開始年齢の繰下げは、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方を選択することも可能となり、月単位で申請することもできます。
たとえば、65歳から年額78万円(月額6万5000円)の老齢基礎年金だけを繰り下げをした場合の受給額は以下のとおりとなります。
《70歳まで繰り下げた場合》
- 年金額78万円×142%=110万7600円(月額9万2300円)
年額は約32万円増えます。
《75歳まで繰り下げた場合》
- 年金額78万円×184%=143万5200円(月額11万9600円)
年額78万円と比較すると、年額約65万円も増えます。
働く期間が延長できるというのは、健康な身体あってのことです。若いうちからの健康管理が大切です。
4.2 iDecoなどを活用して老後資金の不足分を準備する
老後資金の不足分は、自分で準備することになります。その際、iDecoを利用すれば、加入・運用・受取の3段階で税制メリットが受けられ、効率的に老後のお金を準備できます。
5. まとめ
公的年金が破綻する可能性は少ないですが、老後生活を支えるためには十分とはいえません。早いうちから、老後資金のこと、老後の働き方を考えておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「賦課(ふか)方式と積立方式」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国立社会保障・人口問題研究所「-人口統計資料集(2020)-」
- 内閣府「第1部 少子化対策の現状(第1章)」
- 厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」
- 内閣府「第2章 人口・経済・地域社会の将来像」
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大」
- 日本年金機構「マクロ経済スライド」
- 厚生労働省「2019(令和元)年財政検証関連資料」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
舟本 美子