業務終了後に店員を待ち伏せる

「もうその人は精神的に病んで休職してしまったけれど、そうなっても仕方ないくらい彼女にとってはトラウマになる事件だったと思う」と話し始めてくれたのは、百貨店で働く30代のDさんです。

同僚女性が顧客からストーカー行為の被害を受け、休職するほどまでに追い詰められてしまったのだとか。「彼女を守ってくれない会社にも色々と思うことがあった」と語ります。

「最初はただのいいお客さんだったと思う。彼女のことを気に入っていたみたいで、何を買うにも彼女に尋ねていた。でも次第にセクハラめいたことを言うようになり、個人的な連絡先を聞いたり、休みは何をしているのかとかどこに住んでいるのかとか、そういうことを聞くように。このあたりで彼女から同僚や上司に相談があって、事態が発覚した」と言います。

「女性同士で連携を取って、彼女に近づかせないようにフォローしていた。でも、目ざとく彼女を見つけてはストーカーをするように。終業後に店を出たら待ち伏せされていて、抱きつかれたこともあったようで…。その様子を見た他の社員から私に連絡が入ったので、同僚男性を連れて急いで従業員出入口に向かった。彼女がひどく震えていたのが印象的だった」と肩を落とします。

そのあと、自宅にまでつけてきたことも多かったという彼女からの相談あったものの、会社は何か対策を取るわけでもなかったうえに、警察には言うなと言ってきたのだとか。「あの時点で女性社員の多くは失望したと思う。会社のために働いても、会社は私たちを守ってくれないんだと思った」と話してくれました。

おわりに

顧客の立場だからといって、個人情報を聞いてきたりするのは怖いことですし、突飛ばしたりストーカー行為を働いたりするのはクレーマーの域を超えています。クレーマーになる人はストレスを抱えているのかもしれませんが、他人に怒りをぶつけることでストレス解消するのはお門違いでしょう。また、会社側も悪質なクレーマーには毅然とした対応をしてほしいものです。

大塚 ちえ