アプライアンス部門はパナソニックの最大の稼ぎ頭に
パナソニックのアプライアンス部門が好調です。同社には以下4つの事業セグメントがありますが、2018年3月期のセグメント営業利益は、アプライアンスが全体の33%を占め、全社の最大の稼ぎ頭となると会社側では予想しています。
- アプライアンス社(白物家電、テレビなど)
- エコソリューション社(照明機器、住宅関連資材など)
- コネクテッドソリューションズ社(航空機向け電機設備、パソコンなど)
- オートモーティブシステム&インダストリアルシステムズ社(自動車電装機器、バッテリーなど)
今さら言うまでもなく、洗濯機、冷蔵庫、テレビといった家電製品は、来年、創業100周年を迎えるパナソニックの祖業です。
ただ、家電事業というと、日本では既に普及率が100%に近いことや、東芝やGEが家電事業を中国メーカーに売却したといった業界再編の話題が多いため、最近はあまりポジティブなイメージがないかもしれません。
また、そうした市場を対象としたアプライアンス事業が同社最大の稼ぎ頭であるということにも意外感をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、なぜパナソニックは家電市場で「勝ち組」となっているのでしょうか。その最大の理由は、国内市場で高いシェアを確保していることによると筆者は考えています。
実際、同社の家電シェアは2017年には27.5%となり、過去30年間での最高値を更新しています。
また、市場トップシェア製品を多く持つことも見逃せないポイントです。同社はルームエアコン、電子レンジ、IHコンロ、食洗機、シェーバー、ドライヤー、ドラム式洗濯機などのシェアで国内1位を、炊飯器、冷蔵庫、縦型洗濯機、テレビで2位のシェアを確保しています。
高シェアの背景には優れたマーケティング力が
このように多くの製品で高いシェアを確保できている理由は何でしょうか?
2017年5月30日に開催された「Panasonic IR Day 2017」において、同事業を担当するパナソニック・アプライアンス社の本間哲朗社長は、「競合他社に元気がないことも一因ではあるものの、顧客のライフスタイルに合わせたマーケティングを展開したことが主因である」といった趣旨のコメントをしています。
また、2016年5月18日に開催されたIRデーでも、顧客と「つながる力」や、顧客に「価値を伝える力」、さらに「製販連結経営」による一体運営などの強みが発揮されたことが、国内シェアの上昇の要因であると会社側では分析していました。
同社が、きめ細かなマーケティングを展開していることは、「ふだんプレミアム」というコンセプトで作られ、俳優の西島秀俊さんや奥貫薫さんらが出演し、シンガーソングライターのマイケル金子さんの楽曲が流れるテレビCMからも理解することができます。
「気持ちいいタオルで気持ちいい1日にしよう」(洗濯機編)、「忙しい1週間を、もっとおいしい1週間にしよう」(冷蔵庫編)、「健康な空気と暮らそう」(エアコン編)などのCMからは、いずれもワンランク上のプレミアムな暮らしを感じ取ることができます。
また、顧客のライフスタイルに合わせた多様なマーケティングが、美容家電など他のアプライアンス製品でも行われており、そのことが現在の好調に結びついています。