日本の平均年収が上がらない理由
失われた30年とも言われるこの期間に、日本の平均年収はなぜ上昇しなかったのでしょうか。以下2つのポイントにて、状況を分析します。
- 経済成長が鈍化している
- デフレマインドから逃れられない
経済成長率が鈍化している
世界の先進国や近隣アジア諸国の経済成長率を表にまとめました。
日本の平均年収が上がらない理由としてよく挙げられるのは、経済成長の鈍化です。約30年前のバブル後期の日本のGDPは、アメリカに次ぐ世界2位でした。
株式市場では世界の時価総額上位銘柄に日本の企業が多くランクインしていた時代です。バブル期を頂点に日本の経済成長率は鈍化し、代わりに中国の台頭が目立つようになりました。
先進国の中でも、日本のGDP伸び率は低迷しています。
デフレマインドから逃れられない
平均年収の停滞は、長らく続いた不景気によるデフレマインドから脱却できない背景があります。
デフレによる不景気の転換点とも言える2012年以降、雇用状況は改善され、国民の年収もあがるのではと期待されました。
マイナス金利政策まで行われ、企業の資金繰り改善による設備投資や事業資金の投入による景気の好循環が期待されましたが、政府の思惑とは裏腹に、民間企業は積極的な事業への投資は行いませんでした。
財務省がまとめた令和3年度の年次別法人企業統計調査によると、内部留保と見られる利益余剰金は、資本金1億円以上の製造業を中心に現在も増え続けています。
企業が内部留保を重ねる理由はさまざまですが、過去の長いデフレ不景気の経験が足かせとなり、いつか来るかもしれない不景気に耐えうるだけの資産を残しているとも考えられます。