政府は国民年金(基礎年金)の保険料納付について、期間を「20歳以上 60歳未満」の40年間から、65歳までの45年間へ変更を検討すると各種メディアで報じられました。
年金の支払いは60歳までを予定している多くの方々にとって寝耳に水な話でしょう。
決定されれば、2022年度の国民年金保険料は1万6590円ですから、夫婦であれば月3万超の出費増が60~65歳の間見込まれることになります。
総務省によると現代でも60歳代前半の約7割が働いていますが、現役時代よりは収入が減る人が多いもの。
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出所:総務省「統計トピックスNo.132統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
60歳代前半を含めた老後の人生設計について、特に現役世代は変更する必要がありそうです。
今回は65歳以上で無職の世帯の貯蓄を見ながら、老後設計について考えていきましょう。
【定年後】65歳以上で無職世帯の貯蓄平均はいくらか
65歳まで国民年金の負担が続くとなると、その間働く必要性も高まります。では、現代において、65歳以上で無職の世帯の貯蓄はいくらあるのでしょうか。
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」によれば、65歳以上で無職世帯の貯蓄現在高の平均は以下の通りでした(2021年5月公表)。
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出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2021年5月公表)
65歳以上の無職世帯:貯蓄現在高2342万円
- 通貨性預貯金・・・623万円(26.6%)
- 定期性預貯金・・・924万円(39.5%)
- 生命保険など・・・403万円(17.2%)
- 有価証券・・・388万円(16.6%)
- 金融機関外・・・4万円(0.2%)
2016~2021年の推移をみるといずれも貯蓄2000万円以上を維持しており、内訳では預貯金の他、有価証券で約400万円ほど運用も行っています。
【定年後】65歳以上・全体の貯蓄を金額ごとにグラフで見る
先ほどの金額をわが家より少ないと思う方もいれば、多いと思う方もいるでしょう。
次にご紹介するのは、同調査より、世帯主が65歳以上の世帯全体の貯蓄現在高について、100万円未満~4000万円以上ごとに割合をグラフにしたものです。
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出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2021年5月公表)
65歳以上全体の貯蓄を割合で見ると、「100万円未満」は8.3%、「1000~1200万円未満」が5.3%、「2000~2500万円未満」が8.0%、「4000万円以上」は17.7%と、家庭で大きくバラツキがあることがわかります。
実は最も多いのは「4000万円以上」は17.7%です。
しかし、貯蓄保有世帯のより実態に近い中央値は1588万円。約半数は貯蓄1600万円未満で、500万円未満という世帯も約2割います。
65歳まで働く必要性高まるか。社会保険料や学費の負担増も
65歳以上の貯蓄をみると平均値は2000万円を超えましたが、中央値は1588万円であり、500万円未満という世帯もありました。
2019年には老後、年金以外に2000万円必要という「老後2000万円問題」が話題になりましたが、中央値を見ると達成できていない家庭のほうが多いとわかります。
これは現代の65歳以上の話であり、現役世代はまた経済状況も変化しています。
たとえば平均年収はここ30年間年収400万円台で推移していますが、以前は400万円台後半だったものの、ここ10年間は400万円台前半に下がっています。
支出の面をみても、社会保険料の負担は段々と増えています。たとえば今回話題となった国民年金保険料も、2004年度は月1万3300円でしたが、2022年度は1万6590円でした。
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出所:厚生労働省「令和4年版厚生労働白書」
増えているのは社会保険料の負担だけではありません。
教育費についても、私立大学の授業料の平均の推移をみると、2008年には84万8178円でしたが、2021年には93万943円と約8万円増加しています。
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出所:文部科学省「(参考1)私立大学の初年度学生納付金等の推移」
平均年収が上がらない中、社会保険料や教育費の負担が増え、老後資金に備えたくてもなかなか手が回らないというご家庭もあるでしょう。
現役世代は60歳以降のキャリアプランや資産運用が重要に
年金の納付期間が65歳までとなれば、65歳まで働く人は今以上に増えると考えられるでしょう。
60歳代でも働いて収入を得ることができれば、貯蓄が増やせるなどお金の面でもメリットもあります。
しかし中には体力的な問題や病気・ケガで働けなくなる方もいます。
現役世代は60歳以降も働けるようキャリアプランを考えるとともに、いざ働けなくなったときのために、私的年金や貯蓄といった「不労所得」で備える必要もあるでしょう。
教育費や住宅ローンの負担がある中、老後資金に向けた私的年金や貯蓄をおこなうのは容易ではありません。NISAやiDeCoといった国の税制優遇制度をうまく利用しながら、毎月コツコツと備えていくことが大切です。
年金への不安は増しますが、いまできることを考えましょう。
参考資料
宮野 茉莉子
