2022年10月より、育休の分割取得が可能な「産後パパ育休」がスタートしました。
近年は、育児介護休業法が改正され、男性育休取得に向けた動きが活発化しています。とはいえ、未だに男性育休の取得が難しい企業も多いのが実情です。
本記事では、育児介護休業法改正が改正された背景となった課題や、育休取得率の高い企業の取り組みについて見ていきます。
育児介護休業法改正の背景と課題
育児介護休業法が改正された背景には、男性の育休取得率が女性と比べて圧倒的に低い現状があります。
2020年時点での育児休業取得率は、女性が81.6%に対し男性は12.65%。
育児休暇の期間も、女性の9割近くは6ヶ月以上の取得に対し、男性の8割が1ヶ月未満で、36.3%が5日未満でした。
男女で育休取得率が乖離する原因には、従来の制度では男性が育休を取得するのが困難だった点が挙げられます。
厚生労働省の「育児・介護休業法の改正について」に掲載された調査結果では、男性が育休を取得できなかった理由で最も多かったのは以下のとおりです。
- 収入を減らしたくなかったから 41.4%
- 職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから 27.3%
- 会社で育児休業制度が整備されていなかったから 21.3%
収入面や企業の雰囲気が、育休の取得を難しくしているのです。
こうした現状を受け、職場環境の早急な整備が求められ、2022年4月から男性育休が義務化。
事業主が育休取得を拒否した場合は、以下の罰則のいずれかが課されるようになりました。
- 厚生労働大臣からの報告要請、助言、指導勧告
- 違反会社名及び違反行為内容の公表
- 20万円以下の罰金
「産後パパ育休」の制度をおさらい
ここからは、10月から導入された「産後パパ育休」(出生時育児休業)の制度内容をおさらいしていきましょう。
「産後パパ育休」では、子供が生まれてから8週間以内に、合計4週間分の休業が認められます。育休は2回まで分割取得が可能ですが、初めにまとめて申請する必要があります。
また出生時育児休業開始日(分割の場合は初回の休業開始日)の前2年間で、賃金支払基礎日数が11日以上ある、または就業した時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上ある場合は、賃金の67%にあたる出生時育児休業給付金が受け取れます。(180日経過後は50%)
加えて「産後パパ育休」取得中は、被保険者本人負担分および事業主負担分の社会保険料が免除されます。
2023年4月1日から「育児休業取得率の公表」が義務化
来年4月より、常時雇用する従業員が1000人を超える事業主は、年に1回育休取得状況の公表が義務化されます。
企業ホームページなど一般の方でも閲覧できる方法で、「育児休業等の取得割合」か「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかを公表する必要があります。
2022年4月からは雇用環境の整備や意向確認、有期雇用労働者の要件緩和が義務付けられているため、企業によっては育休が取得しやすい環境づくりが進んでいるはずです。
また、少子高齢化による労働力減少が危ぶまれる昨今において、安心して子育てができる企業は求職者の企業選びにプラスの影響を及ぼすでしょう。
各企業は、今後ますますの社内環境整備が求められるのです。
男性育休取得率の高い企業の事例
最後に、内閣府男女共同参画局のホームページに掲載されている、男性育休取得率の高い企業を紹介します。
有限会社COCO-LO
有限会社COCO-LOは、群馬県で訪問看護・通所介護・居宅介護支援事業を運営している会社です。
同社はスマートフォンやクラウドサービスを使った情報交換・情報共有の仕組みを確立し、男性育休取得率の向上とワーク・ライフ・バランスに大きな成果をあげています。
今でこそ男性育休取得率100%の同社ですが、制度導入当初はなかなか男性従業員が育休を取得しようとしなかったそうです。
そこで、社長自ら従業員にはたらきかけ、男性の育休取得や看護休暇取得の実績をあげ、休暇を取得しやすい雰囲気作りに取り組みました。
その結果、厚生労働省のイクメン企業アワード2013、および群馬県いきいきGカンパニー知事賞を受賞。2016年には群馬県内初となる「プラチナくるみんマーク」を取得しています。
株式会社あわしま堂
株式会社あわしま堂は、愛媛県八幡浜市に本社・工場を置く和洋生菓子の製造会社です。
同社では、育児休業制度について知らない従業員が多い現状を受け、育児休業について分かりやすくまとめた「両立支援お役立ちハンドブック」を作成・配布しました。
また、上司自身が部下の育児休業を前向きに捉えるために、社内報に育休を取得した男性従業員の体験談を掲載したり、外部NPO法人の講師を招いて役職者に研修を実施したりといった取り組みを実施しています。
他にも、同僚へ迷惑をかける不安を払拭すべく、1歳未満の子供を持つ従業員を対象に、年間5日間の特別有給休暇を義務として付与しました。
誰かが休んでも残ったメンバーで円滑に業務が進んだ実体験により、今後は育休取得を躊躇する従業員が減るはずと考えているそうです。
数十年先の未来を見据えた取り組みが重要
生まれてくる子供は、数十年後には労働者・消費者となり、国の未来を担っていく大切な存在です。
今後ますます少子高齢化が加速する世の中だからこそ、子育てに奮闘する従業員を企業単位で手厚くサポートしていくのが大切だと思います。
参考資料
- 厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」
- 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
- 厚生労働省「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」
- 厚生労働省「Q&A~育児休業給付~」
- 日本年金機構「育児休業等期間中の社会保険料免除要件の見直しの概要」
- 内閣府男女共同参画局「男性従業員の育児参加に積極的な企業の例①」
- 内閣府男女共同参画局「男性従業員の育児参加に積極的な企業の例②」



