「みなし入院」の支払対象が見直された背景
「みなし入院」の支払対象が見直された背景には、「Withコロナ」に向けた政策の1つとして、全数把握の届出対象見直しがあります。
新型コロナウイルス感染症の流行当初は、すべての陽性者が医療機関で入院療養する措置が取られていました。
しかし、感染拡大により病床逼迫が問題視された結果、重症化リスクの低い人は都道府県が用意した宿泊施設や自宅で療養することに。
こうした状況の変化を受けて、2020年4月に金融庁から各生命保険会社へ「入院していないコロナ感染者も入院給付金の支払い対象とする」要請が出されました。
さらに「宿泊・自宅療養証明書(新型コロナウイルス感染症専用)」を診断書の代替として利用できるように。
「宿泊・自宅療養証明書」の発行も「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS/ハーシス)」で患者自身が取得できるようになり、医療機関の負担軽減が図られました。
HER-SYSは医療機関・保健所などと感染者の情報を共有できるシステムです。しかし2022年に感染力の強いオミクロン株が大流行。
重症化リスクが低いオミクロン株は、結果として「みなし入院」を激増させ、それに伴い民間生保会社の給付金支払いも一気に増加しました。
加えてHER-SYSへ感染情報を入力する患者数も増え、かえって医療機関や保健所などの負担に。
こうした感染レベルの変容を受け、「Withコロナ」に向けた動きが見られるようになり、医療機関が保健所に提出する感染者情報も「重症化リスクの高い人(みなし入院の給付対象者)」に変更されました。