1.1 良いインフレと悪いインフレの違い
そもそもインフレとは、継続的に物価が上昇し、現金の価値が減少している状態のことをいいます。
たとえば、1つ100円で購入できていたものが、120円に上昇するとしましょう。100円で購入できていたものが20円プラスしないと購入できなくなるため、相対的にお金の価値が下がることになるのです。
インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
良いインフレでは、消費拡大による企業の売上上昇、社員の賃金上昇、さらに売上を拡大するための設備投資や人員補充が行われます。
つまり、需要が高まることにより消費が増えて売上や収入が上がっていくという良い循環が生まれ、好景気につながるのです。
一方、悪いインフレには、原材料費などの生産コストが上がることによる物価上昇が挙げられます。
仕入れ価格の上昇は企業の業績に打撃を与え、賃金は上がらないまま物価が上昇するので景気に悪影響を与えることになるのです。
ただし、景気拡大する「良いインフレ」であっても、急激にインフレが進む「ハイパーインフレ」は良い状態ではありません。
急激な物価上昇と急激な通貨価値の下落が起こると、お金を持っていても物が買えない状態になってしまいます。仕事を失い生活に困る人が増えることになるなど、経済が大きく混乱してしまうことになるのです。
そのため、経済に良い影響を与えるのは「緩やかなインフレ」だといわれています。
1.2 現状は「良いインフレ」ではない?
2022年4月に消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)が前年同月比2%を超えました。
しかし、今回の物価上昇の要因は、「需要の高まり」によるものではありません。世界的にエネルギー資源などが高騰していることや急激な円安による輸入価格上昇が背景にあります。
つまり、生産コストの上昇から物価上昇が起きているため、賃金は上がらないままであることから「悪いインフレ」につながる可能性があるといわれているのです。