年収1000万円というと、高収入の部類に入りますが、日本は所得が多くなるにつれ所得税額も多くなる「累進税率」を採用しているため、所得が多いほど収入に占める納税額が多くなり、手取り額の割合が少なくなってしまいます。
では、実際に年収が1000万円ある人の手取り額はいくらなのでしょうか。
片働き世帯、そして共働き世帯それぞれのケースでみてみましょう。
年収1000万円の人の割合は?
国税庁が発表している民間給与実態統計調査(令和3年分)によると、1000万円超1500万円以下の割合は全体の3.5%で約185万人となっています。
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出所:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査 」(令和4年9月)
男女で見ると、男性の場合は約166万人で男性全体の5.4%、女性の場合は、約18万人で女性全体の0.8%を占めています。
この結果を見ても、依然として男性の方が、年収が高いことがうかがえます。
また、年齢階層別の平均給与を見ると、一番高いのは50代後半の男性で、668万円であることから、年収1000万円はかなりの高収入といえるでしょう。
年収1000万円の手取り額はいくら?
では、気になる年収1000万円の人の手取り額はいくらなのでしょうか。
まず、単身の場合と配偶者や扶養家族がいる場合で比べてみましょう。
なお、今回の試算において、対象者は給与所得者(50代、東京都在住)、考慮する所得控除は「社会保険料控除」、「基礎控除」、「配偶者控除」、「扶養控除」のみとし、生命保険料控除などは考慮しないものとします。
年収1000万円の手取り:単身者の場合
単身者の場合、所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみですので、まず、所得金額と社会保険料控除額を計算してみましょう。
給与所得金額
- 給与収入1000万円-給与所得控除195万円=805万円
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出所:国税庁「No.1410 給与所得控除」
社会保険料控除
- 約128万円
所得税額
- 給与所得金額805万円-(社会保険料控除約128万円+基礎控除48万円)=629万円
- 629万円✕20%-42万7500円=83万500円
住民税額(均等割額は5000円とする)
- 給与所得金額805万円-(社会保険料控除約128万円+基礎控除43万円)=634万円
- 634万円✕10%=63万4000円
これに均等割額を合わせると、住民税額は63万9000円
年収1000万円に対して、社会保険料が128万円、所得税が約83万円、住民税が64万円であることから、最終的な手取り額は約725万円です。
年収1000万円の手取り:配偶者(専業主婦)・高校生1人の3人世帯の場合
配偶者(専業主婦)がいると、38万円の配偶者控除が受けられます。
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出所:国税庁「No.1191 配偶者控除」
また、高校生の子どもがいると、38万円の扶養控除が受けられます。
この場合の所得税および住民税額を計算してみましょう。
所得税額
- 給与所得金額805万円-(社会保険料控除約128万円+基礎控除48万円+配偶者控除38万円+扶養控除38万円)=553万円
- 553万円✕20%-42万7500円=67万8500円
住民税額
- 給与所得金額805万円-(社会保険料控除約128万円+基礎控除43万円+配偶者控除33万円+扶養控除33万円)=568万円
- 634万円✕10%=56万8000円+5000=57万3000円
年収1000万円に対して、社会保険料が128万円、所得税が約67万円、住民税が57万円であることから、最終的な手取り額は約748万円です。
単身者よりも配偶者や扶養家族がいるほうが、所得控除が利用できるため、最終的な手取り額は多くなります。
共働きで年収1000万円の場合はどうなる?
では、共働きで年収1000万円の世帯の場合、手取り額はどのようになるのでしょうか。
以下のケースで試算してみましょう。
- 世帯主(夫):年収700万円
- 配偶者(妻):年収300万円
- 高校生の子ども1人
まず、世帯主の夫の手取り額を計算してみましょう。
所得税額
- 給与収入700万円-給与所得控除額180万円=給与所得金額520万円
- 520万円520万円-(社会保険料控除約105万円+基礎控除48万円+扶養控除38万円)=329万円
- 329万円✕10%-9万7500円=23万1500円・・・所得税額
住民税額
- 520万円-(社会保険料控除約105万円+基礎控除43万円+扶養控除33万円)=339万円
- 339万円✕10%=33万9000円+5000円=34万4000円・・・住民税額
夫の手取り額は700万円から社会保険料の105万円、所得税額の約23万円そして住民税額約34万円を差し引いた538万円です。
では、年収300万円の妻はどうでしょうか。
所得税額
- 給与収入300万円-給与所得控除額98万円=給与所得金額202万円
- 202万円-(社会保険料控除約46万円+基礎控除48万円)=108万円
- 108万円✕5%=5万4000円・・・所得税額
住民税額
- 202万円-(社会保険料控除約46万円+基礎控除43万円)=113万円
- 113万円✕10%=11万3000円+5000円=11万8000円・・・住民税額
妻の手取り額は300万円から社会保険料と税金を引いた約237万円となり、夫と合わせると約775万円です。
片働き世帯よりも共働き世帯の場合の方が、同じ年収1000万円でも手取り額が大きくなることが分かります。
手取り額を増やせる制度を利用しよう
年収300万円と700万円、1000万円での違いで分かるとおり、収入が多くなるにつれ、社会保険料や税金で多くの金額が徴収され、手取り額が少なくなります。
給与所得者は経費として計上できる額(給与所得控除)が決っているため、ほかの手段で納税額を少なくできるよう考える必要があります。
例えばiDeCoに加入することで、掛金全額が所得控除の対象になりますし、ふるさと納税を行うことで、所得税では寄付金控除の、住民税では税額控除の対象になります。
どちらも、日常の生活や老後資金の形成として使える制度ですので、積極的に活用し、手取り額を増やせる工夫を取り入れていきましょう。
参考資料
- 国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査 」(令和4年9月)
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 協会けんぽ「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 国税庁「No.1199 基礎控除」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 東京都主税局「個人住民税 | 税金の種類」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
新井 智美
